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評価:4.5
物語をつくるにはどうしたらいいのか。書きたいのに書けない。なんてことありますよね。
わたしは10年以上マンガを描いていますが、物語を1つ作るのはとても大変でした。
しかし物語のつくり方やテンプレを知れば、つくること自体はそんなに難しくありませんよ。
たくさんストーリー理論の本を読んできて、いちばん分かりやすく核心をついている本がありました。それがこちら。
『物語のつくり方入門7つのレッスン』です。
本書は7つのレッスンを通して、初心者の方でも物語がつくれるように構成されています。
作中ではレッスンといっていますが、内容は物語のつくり方そのものです。
基本的に、物語のはじまりから終りまでを順番に書かれているので、その内容をそのままテンプレとして使うことで、物語をつくれるようになりますよ。
本記事では「物語のつくり方7つのレッスン」の感想レビュー、そして内容について書いていきます。
クリックできる目次
物語のつくり方入門7つのレッスン感想レビュー
物語のつくり方7つのレッスンは、とにかく分かりやすい!という感想。
ストーリー作りの本は難しい言い回しや、例え話が多く理解に苦しむものが多いです。
それゆえ、読み切る前に挫折してしまうこともありますが、本書『物語のつくり方7つのレッスン』は、そんなことがなく丁寧に解説しています。
専門用語をほとんど使わず説明しているのも、初心者にとっては理解しやすいです。
内容である「物語のつくり方」はおそらくベースは3幕構成かな、と。
しっかりと導入、クライマックスなど、各所のつくり方を学ぶことができます。
そんな内容の濃い本でした。シリーズ化しているのであわせて持っておくと役に立ちますよ。
物語のつくり方7つのレッスンの内容
物語のつくり方7つのレッスンの目次にそって、その内容をお伝えしていきます。
物語のおおまかな輪郭を作る
はじめのレッスンではどんな話を書くのか、そのとっかかりを決めるところからです。
例えば「主人公が◯◯する話」という、とても簡単なものから考えていきます。
- 主人公が恋する話
- 主人公が戦う話
- 主人公が成長する話
など、物語をつくるにはおおまかなストーリーラインが必要なんですね。
そのストーリーラインを決めるのがプロットになります。
そのプロットをすごく簡単につくったものが、先ほどの「主人公が恋する話」になるんです。
ただそれだけでは文字通りお話にならないので、以下を使ってストーリーを広げていきます。
- いつ
- どこで
- 誰と
- なにを
- どのように
これらを使うことで、ストーリーが広がっていきます。
こうしたストーリーの広げ方については、下記の記事でも詳しく解説していますので参考にしてくださいね。
【解説!】漫画プロットの書き方のコツはたった3ステップだけ!こうした広げ方はありますが、初心者には少し難しいかもしれません。
でもそれは当然です。今までやってきたことがなかったんですから。
しかしこの『「物語」のつくり方入門7つのレッスン』では、はじめて取り組む人に向けて、うまくできる方法を提案してくれています。
その提案とは、「自分の好きな映画や漫画の共通する部分を参考にする」です。
その具体的な方法についても書かれています。
物語全体の流れを作る
先ほどのレッスンでは物語の大まかな流れ、プロットをつくりました。
このレッスンでは、そのプロットを6つのパートに分けて、物語を構成してきます。6つのパートは、簡単に説明すると以下のようになります。
- いつ
- どこで
- 誰が
を読者に提示する。
主人公は出来事を起こそうとするが、さまざまな障害に阻まれる 。
読者のハラハラ感を盛り上げる 。
主人公が出来事を起こす 。
読者の気持ちをフォローする 。
各パートについて、なにを書くべきか丁寧に解説してくれています。
また、ストーリーが進むにつれ、どのくらいの盛り上がり度合いで展開していくかも図解しています。
この内容をもとに作っていけば、ストーリーとしての構成はしっかりできるようになります。
この6つのパートが、物語をつくるときのテンプレとして使えますよ。
キャラクターの考え方
このレッスンからはキャラクターについて書かれています。
例えば、「キャラクターの個性を決める3つの要素」として以下をあげています。
行動の原因となる欲求。
ポリシーや美意識。
富や強力な味方、マジックアイテムで手に入る力。
この3つのうち、どれかを極端にかたよらすことで、キャラクターは個性をもってきます。極端にかたよらすとは
- どんなに難しいオペでも失敗しない
- 便利な道具(マジックアイテム)をたくさんもっている
など、その能力がトコトン突き出ていることですね。
こうして極端にかたよらせたほうが、キャラクターとして魅力的になります。
主人公を作る
ここでは主人公について深掘りしています。例えば主人公の能力を…
- 主人公自身が自覚している
- 自覚していない
これによって物語の展開が変わってきます。
「歌と踊りが天才的に上手い」主人公が、その能力を自覚しているのと、していない場合。物語の見せ方は変わってきますよね。
このように主人公をつくっていくと、物語の方向性も見えてきます。
また、主人公の価値観や夢を設定すると、目的を阻む障害に直面したときに、どういう行動をとるのかも見えてきます。
主人公をつくることは、物語をつくることでもあるんですね。
主人公のつくり方も、物語を作るうえでは非常に重要です。それが本書では学べます。
敵対者を作る
物語は、
- トラブル
- 葛藤
- 対立
など、モメればモメるほど面白くなっていきます。
ここではその方法として、「敵対者」のつくり方を解説してくれています。
そのつくり方としては、「主人公とは相反する欲求、あるいは価値観を持たせる」です。
例えば、主人公が医者で「どんな患者も必ず命を救う」という価値観をもっているとしたら、敵対者は「状況によって命を絶つことも救いだ」という価値観をもたせます。
そしてこの「敵対者」にも価値観や能力をもたせます。これは主人公をつくったときと同じやり方でOKです。
それに加えて、なぜ主人公と相反する価値観をもつようになったのか? ということも決めていきます。
あとは、
という対立する構図にすると、 物語はおのずと盛り上がっていきます。
敵対者のつくり方を知らないと、読み応えのない物語になってしまいますよ。本書でしっかりつくり方を学びましょう。
援助者を作る
主人公の能力に対して、障害が大きすぎたり、敵対者が強すぎることがあると思います。
メンターともいわれますね。
援助者は主人公をサポートしたり、物語が行きづまった状況を打開する役割があります。
援助者は、決して主人公より目立ったり、サポート以上のことをしません。なぜならこの物語は、主人公のものだからです。
この援助者は、ときに主人公の敵対者になったり、さまざまな側面をもつこともあります。物語の状況にあわせて、役割を与えましょう。
ディテールと演出
最後のレッスンでは、物語を書いている途中に誰もが思う「ありがちだなー」ということをテーマに書かれています。
- 展開がありきたり
- どこかで見たようなエピソード
そんなありがちも言い方を変えれば
- 定番
- 王道
なんです 。ではその違いとは?
主人公や設定上の時代、舞台など、何パターンも組みかえて「ありきたり」と「王道」の考察をしています。
このあたりは読んでいて、新しい見方が発見できるいいキッカケとなりました。
「ありきたり」だと思うことも、よく考え、主人公や舞台、時代などを設定することで「王道」になることができます。
また、タイムスリップものやファンタジーなどのジャンルごとに、どういうふうに設定を工夫すれば面白くなるのかも助言してくれています。
テンプレ化した物語のつくり方で構成した物語。それを、どういう見せ方にするのか。
一番面白くなるように考えることがとても大切なんですね。
物語のつくり方入門7つのレッスン感想レビュー:まとめ
では、物語のつくり方入門7つのレッスンの感想レビューをまとめます。
本書は、一度も物語を書いたことがない初心者の方から、独学で物語を書いてきた人、中級者の人にもおすすめの本です。
まずは物語を構成する6つのパート
- セットアップ
- 最初の事件
- 展開・葛藤
- クライマックス直前
- クライマックス
- 解決
この通りに物語を組み立てていきます。これが物語をつくる上でのテンプレ。どの作品にも使うことができます。
そして、その物語を面白く見せるために演出などを考えていきます。
作中は、わかりやすい言葉で書かれており、読みやすく、簡単に内容が理解できるよう配慮されています。
本記事では、ほんの少ししか紹介しておりませんので、もっと物語のつくり方を知りたい!という方がいらっしゃいましたら、ぜひ手にとっていただけたらと思います。
物語だけではなく、主人公や敵対者などのつくり方も学べる良書です。
シリーズもあわせて持っておくと、あなたのストーリー作りが劇的に変わりますよ。
ちなみに、本サイトでもストーリーのつくり方を解説していますので、よければご覧くださいね。
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