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【レビュー】シド・フィールドの脚本術!映画を書くためにあなたがしなくてはならないことは三幕構成の原点

評価:4.5

ストーリーの書き方を知りたい。そう思ったときにたどり着くのが、シド・フィールドの三幕構成。

この三幕構成は、ストーリーを3つのセクションにわけて構成する理論です。

いまでは漫画や小説、映画などあらゆる脚本に活用されています。

らおん
三幕構成の原点!

ストーリーでおすすめの本は数あれど、この三幕構成抜きにしては語れません。

というわけで本記事では「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」の内容を紹介していきます。

この記事の著者
らおん

漫画家

らおん

raon wawaji

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SNS(X:@raon_wawaji)やWEBで活動する漫画家。
当サイトでは、長年にわたり身につけた漫画の知識や経験、スキルを基に発信しています。またペンタブや参考書など、漫画・イラストを描く人のために詳細なレビューもしています。プロフィール詳細

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術の内容

「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」は全17章です。

本書の目次は以下です。

それでは各章ごとに内容を紹介していきます。

映画脚本術とはなにか

“映画”という媒体ならではの表現。

それについて軽く触れ、基本的なストーリーの流れを解説しています。

らおん
小説や演劇とは違う”映像”ってところ!

ストーリーの流れは今や、創作のスタンダード化している三幕構成です。

三幕構成の流れ
  • 第一幕:状況設定
  • 第二幕:葛藤
  • 第三幕:解決

各幕にどんな役割があるか、そして適切なシーンの長さも説明しつつ、良い脚本とは?を説いています。

らおん
脚本を書くための前提知識が学べます

テーマを作る

テーマを”決める”ではなく、テーマを”作る”。

なので「音楽」や「友情」をテーマに!といったことではありません。

らおん
もちろんそれも大事!

だけどもっと大事なのは「何について」の「誰」の脚本かを決めること。

それを決めるには下記の2つを取っかかりにします。

  • キャラクター
  • アクション(行動)

いい換えると「主人公」と「主人公の目的」を決める、と解釈してもOKです。

そして本書では下図のように、綿密にアクションとキャラクターを作っていきます。

テーマを作るだけでもこの具体的さ。

しっかりとしたストーリーの基盤ができあがります。

登場人物を創造する

キャラクターがどう行動(アクション)するかによって、そのキャラクターの性格が浮き彫りになります。

らおん
起こる事件や自分自身の葛藤!

そしてキャラクターのつくり方は「内面」と「外面」から掘り下げます。

引用:63ページ

内面はキャラクターの感情を把握し、行動を決定づける要素となります。

一方外面は、キャラクターを取り巻く環境のことです。

らおん
人間関係や仕事のことなど!

キャラクターの環境から、起こりえる事件を経てストーリーは進んでいく。

そこでどうキャラクターが行動(アクション)を取るかによって、性格を表現できます。

登場人物を構築する

キャラクターがつくれたら、今度はそれをストーリーに活かすべく、構築する段階に入ります。

キャラクターを構築する要素は以下の4つ。

  1. はっきりとした欲求(目的)
  2. 独自の考え方、ものの見方
  3. あるものに対する態度を体現
  4. 何かしらの変化を遂げる

悪には悪の考え方や目的があるように、主人公にも目的や価値観があります。

そしてそれをストーリーを通して描いていること。

さらにストーリーの終わりには、その価値観や取り巻く状況などが変化していること。

これらがキャラクターの構築となります。

らおん
キャラが変化するのは基本だね!

ストーリーと人物設定

創作でよくある2択。

  • ストーリーが先か
  • キャラクターが先か

結論はどちらでもよくて、本書は著者の教えている脚本クラスでのやり取りがメインで進んでいきます。

作り方はキャラクターが先パターン。

前章までの内容を実践していく形です。

らおん
キャラからストーリーが生まれる過程は参考になる!

エンディングとオープニングをつくる

ストーリーは始まった瞬間から、終わりに向かって進んでいく。

つまり終わりが決まっていないと、ストーリーは進められない。

なので先に、この物語はどんな結末を迎えるのか、エンディングを決めます。

らおん
エンディングを決めたら後はそこへ進むだけ!

そしてオープニングも見る人が、離脱するかしないかの大切なシーン。

観客を惹きつけつつ、作品の世界観や主人公などを魅せていきます。

らおん
一番難しいのはオープニングだったりしますよね…

そのオープニングも映画作品を例に、どうやって作ればいいのかを解説しています。

ストーリーの設定

この章でいうストーリーの設定は、三幕構成の第一幕のことです。

三幕構成の流れ
  • 第一幕:状況設定
  • 第二幕:葛藤
  • 第三幕:解決

この一幕目で描くべき内容は以下。

  • 主人公は誰か?
  • なんのストーリーか?
  • ドラマが起きている状況は?

ざっくりまとめると、主人公とその目的。

ラブストーリーやヒューマンドラマなどの題材(ジャンル)。

そしてどんな状況で物語がはじまるのか?

これをストーリーを通して説明することです。

らおん
これを見せないと観客は何やってるかわからない

この第一幕の見せ方、上手くなることが脚本のスキルアップの第一歩ですね。

二つの事件は関連する

「二つの事件は関連する」言いかたは難しいですが、「次の出来事が起こるキッカケの事件」のこと。

例えば、なにか事件が起きる。起きた事件を捜査するために警察が動き、それによってまた違う事件が起きる。みたいな。

らおん
事件が事件を呼ぶ!

一見つながっていないできごとも、どこかでクロスし、ストーリーは加速度的に進んでいきます。

そんな手法もあるよ、という解説です。

プロットポイントを見つける

プロットポイントとは「ストーリー上での変化」のこと。

順調に進んでいたストーリーに変化を与え、物語を加速させていく。

らおん
起承転結の「転」のような感じ!

そしてそのプロットポイントは2か所あります。

プロットポイント
引用:168ページ

プロットポイントの目的は、ストーリーを前へ動かすこと。

エンディングに向けてあらゆる方向から、ストーリーを進めること。

この目的をもっていれば、ストーリーの軸がズレることはありません。

らおん
ストーリーが行き詰まったらプロットポイントを意識する!

シーンを作る

シーンの目的は2つ。

  • ストーリーを前に転がす
  • キャラの情報を提示する

上記の内容が入ってないシーンは必要ないシーン。

これを指針にシーンをつくると、無駄な展開やエピソードを削れてスッキリします。

そしてシーンには2種類あります。

  • 視覚的に何かが起こる
  • 会話している

シーンの目的と種類を把握すれば、物語を紡ぐことができます。

そしてシーンの具体的な作り方は、本書で解説されています。

シークエンスを考える

シークエンスとは「ストーリーが解決するために必要な、重要なシーンの集まり」のこと。

らおん
つまりストーリーの骨格!

このシークエンスは三幕構成の各幕ごとに存在しています。

そして書き手の自由な発想ができる部分でもあります。

例えばこんなことありませんか。

らおん
このシーンが描きたい!!!

と、具体的なシーンが思い浮かぶこと。

これはシークエンスになりえるシーンです。作り方はこんな感じ。

描きたいものをシークエンス(ストーリーの基盤となるシーン)にして、それを軸に他のシーンを作っていく。

らおん
シークエンスが器で、他のシーンがその器に入るもの

こんな感じでとらえると、シークエンスは作りやすくなります。

ストーリーラインを構築する

ストーリーラインを構築するのに、本書では「カードシステム」をおすすめしています。

複数のカードを使ってやる、カードシステムのやり方は簡単です。

  • カードにアイデアを書く
  • シーンに合わせてカードをつないでいく

これだけです。

注意点はカードに書くアイデアを「簡単なアクションの要約」にすること。

そうすることで自然とストーリーラインはつながっていきます。

脚本の形式を知る

この章を要約すると、「どんな書き方をすればいいか」。

結論からいうと、どんな書き方でもOK。

しかし一度も脚本を書いたことがない人は、そもそもの書き方がわからない。

らおん
だからたくさん読む!

たくさん読むと自分の書きやすい形式で、自然と書き出せるようになる。

これは漫画や小説でも同じですね。

書こうとするなら、まずは既存作品の例にならってみる。

こうすることで自分の書き方の「型」みたいなのが定まってきます。

さあ、脚本を書こう

この章では実際に脚本を書くときに、ぶつかる内容も解説しています。

  • 時間の確保
  • 執筆スケジュール
  • 妨害衝動

どうやって執筆に取り組むべきか、ですね。

また脚本を書いていくうちにわかる内容も解説されています。

  • よいドラマの根本は葛藤
  • 必要なシーン
  • 書くことの壁

書き慣れてくるとわかる脚本のノウハウ。そしてぶつかる創作の壁。

らおん
その辺の話も参考になる!

脚色をする

本書では脚色は「媒体にあわせて表現すること」としています。

つまり素材の段階や、制作したストーリーはそのままでは不十分。

そこから見せ方を工夫する必要があります。それが脚色。

らおん
映画なら映画の、小説なら小説の見せ方があるよねってこと!

同じ作品でも媒体が変われば、表現方法も変わりますよね。

そこを把握しましょう、というお話しです。

共同執筆(コラボ)

共同執筆するときのメリットや、注意点などを解説しています。

あまり共同執筆をする方はいないと思いますが、以下の点をシェアするのが大事。

  • 基本ルール
  • 準備
  • 執筆のやり方

書き終えた後

脚本を書き終えたあとの話です。

友人・知人に見てもらったり、しっかりバックアップをとったり、リライトしたり。

らおん
データ化してバックアップするのは大事ですね!

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術のレビュー

シド・フィールドといえば、三幕構成で有名ですよね。

そんなわけで三幕構成の基本がつまっている内容でした。

らおん
でも……

文章がわかりづらいです。

読んでいて、結局いま何の話をしているのか、何が言いたいのか。それをくみ取る必要があります。

らおん
これがものすごく苦痛……!

初心者には適さない本。書いてある内容が良いだけにもったいないです。

同じく三幕構成を学びたいなら「SAVE THE CATの法則」をおすすめします。

こちらは非常に分かりやすく、シド・フィールドの三幕構成を、さらに洗練した作りになっています。

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映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術のレビューまとめ

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術のレビューでした。

三幕構成の基本が書かれている良い内容なのに、理解しがたい文章構成になっているのが残念。

もう少し日本向けにうまく翻訳してほしかったな、と思いました。

三幕構成を知るなら「SAVE THE CATの法則」の方がおすすめです。

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