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スペースドローイング入門をレビュー!空間演出に活かすパースの基本

スペースドローイング入門のレビュー

評価:5

スペースドローイング…なんだか聞き慣れない言葉。

空間を…描く?

らおん
らおん

そう!活き活きと空間を描くことだよ!

本書「スペースドローイング入門」は単なる背景の描き方ではなく、空間を活かした指南書。

生活感あふれる情景を描きたい。街並みに溶け込むキャラを描きたい。そんな背景も主役の1つとして描くための1冊です。

間違いなくドローイングでおすすめの本といえるでしょう。

というわけで本記事では「 スペースドローイング入門 」について書いていきます。

本書から学べること
  • パースの基本
  • 各透視図法の描き方
  • 魚眼パースの描き方
  • 空間の活かし方

スペースドローイング入門の内容

スペースドローイングの目次

空間を活き活きと描くための本書。

活き活きと描くためにはパースの知識が必要不可欠です。

らおん
つまり背景の描き方を知ること!

活き活きと描くための空間演出に特化していますが、しっかり背景の描き方も解説されています。

なのでパースの知識が全くない人でも安心して読み進められます。

らおん
初心者に優しい本です

以下が目次。

「透視図法」という言葉が難しさを増長させていますね。

しかしイラストメインで解説されているため、小学生でも理解できるような内容になっています。

それでは本書の目次に沿って紹介していきます。

透視図法とは?

透視図法とは

まずは簡単に透視図法とはなにか?を解説しています。

具体的にこの2つ。

  • アイレベルとは
  • 消失点とは

パースを全く知らない人のための、建物を描く基礎知識です。

アイレベル
アイレベル
出典「スペース・ドローイング入門」P12~P13

高さの変化によって、ものの見え方が変わる。

物の大きさの目安なども軽く載っています。

「車やドアは~くらいの高さ」など。背景を描くときに参考になりそう。

消失点
消失点
出典「スペース・ドローイング入門」P24~P25

このパートの解説で「確かに!」と思ったことが1つ。

『地面に置かれた箱は必ず、消失点へ向かう。しかし空中に描いた箱は、消失点へ向かわない』。

浮かんだ箱の消失点
出典「スペース・ドローイング入門」P28~P29
らおん
言われてみると確かにそう!

他の本では書かれていない、細かな知識も解説されているのがうれしいポイントでした。

透視図法の注意点、3つ

透視図法の注意点、3つ

このパートは前パートで解説した、透視図法を使って描くときの注意点を解説しています。

注意点は以下の3つ。

  1. 遠くの物ほど小さくなりアイレベルに近づく
  2. 平行な線は必ず1点に集まる
  3. アイレベルに近づくほど奥行きが短くなる

これもパースの基本。初心者のために詳しく丁寧な構成です。

遠くの物ほど小さくなりアイレベルに近づく
遠くの物ほど小さくなりアイレベルに近づく
出典「スペース・ドローイング入門」P42~P43

遠くにあるほど小さく見える、という図解。「遠くにあるもの」ほどアイレベルから近い。

平行な線は必ず1点に集まる
平行な線は必ず1点に集まる
出典「スペース・ドローイング入門」P46~P47

平行な線は見る角度を変えると、必ず消失点へ向かう、というパースの基本。

アイレベルに近づくほど奥行きが短くなる
アイレベルに近づくほど奥行きが短くなる
出典「スペース・ドローイング入門」P58~P59

パースは遠くのものほど小さく見える。と同時に見える奥行きも、せばまる。

何十キロも離れたビル群などは、奥行きがせばまりすぎて、もはや平面に見えます。

角度別透視図法

角度別透視図法

角度による見え方の違いを、各透視図法で解説しています。

各透視図法
  • 一点透視図法
  • 二点透視図法
  • 三点透視図法

各透視図法の描き方を説明しながら、いろんな角度での見え方も載っています。

例えば「一点透視図法でこんな構図描けるんだ!」など、背景を描くときの幅も広がりそうです。

一点透視図法
一点透視図法
出典「スペース・ドローイング入門」P86~P87

まずは基本の一点透視図法の描き方。

画角(見え方)についての解説からはじまり、読む人がきちんと理解できるように、歩幅をあわせて説明されています。

二点透視図法
二点透視図法
出典「スペース・ドローイング入門」P106~P107

一点透視の次のステップ、二点透視図法。

消失点が2つになるので、線がどっちへ向かうのか行方不明になることも。

本書では実際に線を引いてみるテストがあったり、著者の線の引き方なども載っています。

三点透視図法
三点透視図法
出典「スペース・ドローイング入門」P122~P123

透視図法の中で一番難易度が高い三点透視図法。

描くときの注意点なども交えて、わかりやすい言葉選びとイラストで解説しています。

と、ここまでで背景を描く基礎は、身につく内容となっています。

らおん
つまり背景が描けるということ

背景の描き方系の本では、だいたいこの辺りの知識にとどまっていますが、本書はスペースドローイング。

空間を活かす演出の知識が載っています。それが次のパート。

レンズによる演出

レンズによる演出

レンズによる演出。通常のカメラで見たときとは違う演出ができます。

本書で解説されているレンズ演出は下記の2つ。

  • 広角レンズ
  • 魚眼レンズ

画角について、詳しく学べる内容です。

画角を使い分けることによって、見せたいものや与えたい印象などを操作できます。

らおん
これがレンズによる演出
広角レンズ
広角レンズ
出典「スペース・ドローイング入門」P142~P143

広角レンズの見え方や、使うと効果的なシーンの解説。

この知識を知っているだけで、描くイラストに伝わる情報量が違ってきます。

魚眼レンズ
魚眼レンズ
出典「スペース・ドローイング入門」P172~P173

魚眼レンズの描き方を解説。消失点は5つとります。

面白い効果が期待できるのも魚眼レンズの特長ですね。

今までで一番わかりやすい解説でした。

魚眼レンズイラスト
出典「スペース・ドローイング入門」P182~P183

こんなの描いてみたいなー、と思わせるイラスト。とても参考になります。

いろいろな形の物を描いてみよう

いろいろな形の物を描いてみよう

町中にある、いろんな物の描き方を解説しているパートです。

  • 横断歩道
  • 円・タイヤとホイール・窓
  • 三枚窓
  • 坂・階段

横断歩道では増殖法の解説。

そして円やタイヤでは、パースに沿った楕円の描き方なども。

窓
出典「スペース・ドローイング入門」P212~P213

上図では窓の描き方。三枚窓では分割法なども学べます。

階段
出典「スペース・ドローイング入門」P224~P225

以上がスペースドローイング入門の内容です。

完全初心者でも理解できる内容。読者のことを気遣って書かれている点が、随所から感じられました。

空間を活かした背景が描きたい人はもちろん、背景が苦手な人にこそおすすめな1冊です。

スペースドローイング入門のレビュー

スペースドローイング入門の表紙

スペースドローイング入門で学べる内容の要約です。

パースの基本

背景を描くときに必ず必要になるパース。その基本をしっかりおさえられていました。

背景を描く知識が全くない人でも、理解できる図解イラスト。

視座を低くして、とことん優しく丁寧に解説している点が好印象でした。

各透視図法の描き方

一点~三点透視図法の描き方。

同じ透視図法でも、いろんな角度からの見え方を学べます。

この角度による学びが、透視図法の理解と、背景を描くときのアイデアにつながりそう。

他の本にはない独自の切り口がありました。

魚眼パースの描き方

正直、魚眼レンズのパースについて学べる本はほとんどないので、それだけで貴重です。

本書のいたるところで、魚眼レンズを使ったイラストがあるので、著者の得意分野かもしれません。

なにかと難しい印象の魚眼レンズが、とてもわかりやすく解説されています。

もはや魚眼パースを知るためだけに持っててもいいくらいです。

空間の活かし方

「レンズによる演出」のパートでは、画角を使いこなすことによって。得られる効果を学べます。

例えば「キャラクターの表情や雰囲気を強調する」ために、こうやって広角レンズを使うといいよ、など。

透視図法の描き方パートでの、角度による見え方も、こういうところで活かせそうです。

スペースドローイング入門はこんな人におすすめ

読んだ所感は「こんなに優しいパースの本ははじめて」でした。

わかりやすいパースの本では「パース塾」がありますが、それよりもさらにテクニカルな内容となっています。

空間を活かした背景を描きたい人はもちろん、背景を描くためのパースを学びたい人にもおすすめです。

こんな人におすすめ
  • 背景の描き方を知りたい人
  • 背景に苦手意識がある人
  • 背景を学び直したい人
  • 日常溢れる町中を描きたい人
  • 画角を知りたい人
  • 空間を活かした背景を描きたい人

スペースドローイング入門レビューまとめ

スペースドローイング入門のレビューでした。

街で暮らす人々を描くには、うってつけの空間演出。

本のタイトルに「背景の描き方」としないところが、著者のこだわりを感じます。

空間を活かしたイラストが数点載っているので、単なる背景の描き方の本と違い、読み物として手元に置いとくのもいい感じです。

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