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描くのが苦手な人が多い、背景の描き方。
どこに向かって線を引けばいいのか分からない。なんだか空間がゆがんでるように見える。
僕もその難しさを痛感し、背景の描き方の本をたくさん見て、必死に勉強した思い出があります。
背景が描けるようになると、以下のように作品の幅も広がりますね。
- 背景メインの絵が描ける
- 世界観を演出できる
- キャラのいる場所を提示できる
特に漫画の場合、状況説明のために「キャラのいる場所を提示」することは、とても大事です。
全コマに背景を入れる必要はありませんが、描かなければいけないシーンは必ずあります。
イラストでも背景があると、よりキャラクターを際立たせることができますね。
本記事では初心者向けに背景の描き方を解説してきます。
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背景を描くときの基本
背景を描くときに大事な要素は、以下の5つです。
上記の内容は最低限、理解できるようにしましょう。
ではそれぞれ解説していきます。
遠近感
遠近感を出すときの見えかたの基本です。
近くのものは大きく見えて、遠くのものは小さく見える。
さらに遠くのものほど、面は圧縮されます。つまり見える幅はせまくなっていく。
ビルなどがわかりやすいですね。
ほかにも並木や電柱なども、遠くに行くほど見える幅はせまくなっています。
アイレベル
アイレベルとは目の高さのこと。
背景を描くときはこのアイレベルが基準となります。
アイレベルよりも高い位置にあると底面が見え、低い位置にあると上面が見えます。
アイレベルの高さによって、背景の見え方も違ってきます。
目線の高さはほぼ地平線と同じ。地面をはっているような構図。
アイレベルより上にありますが、底面は地面と接しているので見えません。
高い所から見た構図。
アイレベルより下にあるので、上面が見えます。
消失点
消失点とは物が小さくなっていく線が集まる点です。
消失点は基本的にアイレベルの上に存在します。
奥行の線を描くときは、この消失点の位置を決め、そこへ向かうように線を引くのが基本。
消失点の数は、使う透視図法によって変わります。
- 一点透視=消失点1つ
- 二点透視=消失点2つ
- 三点透視=消失点3つ
各透視図法の描き方は後のど解説。
3つの線
背景を描くときに意識する3つの線があります。
それがこちら。
- 高さ
- 横幅
- 奥行
背景を描くには一点~三点透視図法を使いますが、奥行の線だけはどの透視図法でも、必ず消失点へ向かいます。
画面構成
背景は以下の3つの要素で構成されています。
- アイレベル
- 消失点
- パースライン(消失点へ向かう線)
消失点へ向かわない線は、水平または垂直線。
これはどの透視図法でも同じ構成です。
背景は「アイレベル」と「消失点」を決めてから描いていきます。
上記3つの要素を意識すれば、遠近感がぐちゃぐちゃな背景にはなりません。
では次から各透視図法の描き方を解説していきます。
背景の描き方
背景を描くときはパースと呼ばれる、透視図法を使います。
この透視図法は3種類あり、消失点の数によって変わります。
各透視図法での背景の描き方は以下です。
一点透視図法
一点透視図法はアイレベル上に消失点が1つ。
奥行の線だけが消失点へ向かいます。
下図は室内の一点透視図法。
消失点へ向かう奥行の線以外は、横は水平に、縦は垂直に線を引きます。
一点透視図法の特長は、画面の中に消失点があること。
それゆえ消失点の位置がつかみやすく、初心者でも描きやすい構図です。
二点透視図法
二点透視図法はアイレベル上に消失点が2つ。
奥行の線と横の線にパースがかかります。
縦の線は垂直。消失点に向かうことはありません。
消失点は画面の外にあり、2つの消失点が離れるほど、ゆるやかなパースになります。
また消失点は左右ではなく、上下にとることもできます。
この場合、パースラインは縦と奥行。
横の線だけが水平になり、他の線は消失点へ向かいます。
三点透視図法
三点透視図法は消失点が3つあります。
つまり「縦」「横」「奥行」3つの線が、全てそれぞれ消失点へ向かいます。
二点透視図法と同じく、消失点はすべて画面の外にあります。
見上げている構図。
これとは反対に、アイレベルを高くすることで、見下ろしている構図も描けます。
背景の描き方【応用編】
透視図法が理解できたら、下記の内容も覚えておくと応用が効きます。
パースに沿ってモノを分割する方法、増殖させる方法。
また坂道など少しややこしい描き方をも解説します。
分割法
建物の窓を描くときなどに使える、分割法です。
分割法は2分割・3分割・5分割…と、範囲を好きな数だけ分割できます。
まずは分割したい枠を描き、対角線を引きます。
その対角線の交点がちょうど半分です。
4分割にするには、分割した2つの枠をさらに2分割します。
3分割や5分割については、下記の記事で詳しく解説しています。
背景パースで描く分割法増殖法
ビルやフェンスなど、好きな幅まで増やす方法です。
まずは基準となる枠を描き、対角線を引きます。
対角線の交点と、消失点を結ぶ補助線を引く。
上図で引いた補助線と、基準枠の交点を通る線を引く。
基準枠の上辺とぶつかった所が、隣接する枠の幅になります。
これを増殖させたい範囲まで、繰り返します。
背景パースで描く増殖法坂道の描き方
坂道はアイレベル上の消失点とは違う方向へ向かいます。
のぼり坂では、アイレベル上の消失点より、上にもう一つ消失点をとります。
のぼり坂はこの消失点へ向かって線を引きます。
ただし、建物はすべてアイレベル上の消失点へ向かうので注意してください。
ややこしいですが、坂道に接している線は上の消失点へ。
坂道に接していない線は通常の消失点へ向かう、と覚えると確実です。
また消失点の位置が高くなるほど、坂道の傾斜は急になります。
坂道の上にボックスがある場合は、坂道用の消失点へ向かいます。
建物と違い、奥行の線はすべて上の消失点へ。
建物の場合は地面から立っているので、坂道と接している線だけ上の消失点へ向かいます。
ボックスの場合は坂道から立っているので、どの線も上の消失点へ向かいます。
魚眼パース
パース感覚に慣れてきたら、空間をゆがませて描く魚眼パースもできるようになります。
ドアののぞき穴から見たような構図ですね。
描き方は簡単。まずは上下左右に消失点をとります。
左右前後から球体をイメージして、下図のように補助線を引きます。
背景を描くときは上図の補助線に沿って、高さ・横幅の線を引きます。
奥行の線は通常の消失点に向かわせます。
簡単な魚眼パースの描き方は以上です。
簡単!魚眼パースの描き方と3つのコツ一番分かりやすい背景の描き方まとめ
背景の描き方を解説しました。
描くときに大切な要素は以下の3つ。
- アイレベル
- 消失点
- パースライン
特に消失点が増えると、パースラインがどこに向かうか混乱するので、気をつけましょう。
最後に本記事で解説した透視図法は、イラストを描くために考えられたものではなく、実際の風景も同じ見え方をしています。
アイレベルと消失点。そして消失点に向かう線。外に出たときはこれらを意識して見ると理解が深まるかもしれません。
初心者向け!背景の描き方がわかるおすすめの本5選 背景パースで描く分割法 背景パースで描く増殖法 簡単!魚眼パースの描き方と3つのコツ