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評価:5
スペースドローイング…なんだか聞き慣れない言葉。
空間を…描く?
そう!活き活きと空間を描くことだよ!
本書「スペースドローイング入門」は単なる背景の描き方ではなく、空間を活かした指南書。
生活感あふれる情景を描きたい。街並みに溶け込むキャラを描きたい。そんな背景も主役の1つとして描くための1冊です。
間違いなくドローイングでおすすめの本といえるでしょう。
というわけで本記事では「 スペースドローイング入門 」について書いていきます。
- パースの基本
- 各透視図法の描き方
- 魚眼パースの描き方
- 空間の活かし方
クリックできる目次
スペースドローイング入門の内容
空間を活き活きと描くための本書。
活き活きと描くためにはパースの知識が必要不可欠です。
活き活きと描くための空間演出に特化していますが、しっかり背景の描き方も解説されています。
なのでパースの知識が全くない人でも安心して読み進められます。
以下が目次。
「透視図法」という言葉が難しさを増長させていますね。
しかしイラストメインで解説されているため、小学生でも理解できるような内容になっています。
それでは本書の目次に沿って紹介していきます。
透視図法とは?
まずは簡単に透視図法とはなにか?を解説しています。
具体的にこの2つ。
- アイレベルとは
- 消失点とは
パースを全く知らない人のための、建物を描く基礎知識です。
高さの変化によって、ものの見え方が変わる。
物の大きさの目安なども軽く載っています。
「車やドアは~くらいの高さ」など。背景を描くときに参考になりそう。
このパートの解説で「確かに!」と思ったことが1つ。
『地面に置かれた箱は必ず、消失点へ向かう。しかし空中に描いた箱は、消失点へ向かわない』。
他の本では書かれていない、細かな知識も解説されているのがうれしいポイントでした。
透視図法の注意点、3つ
このパートは前パートで解説した、透視図法を使って描くときの注意点を解説しています。
注意点は以下の3つ。
- 遠くの物ほど小さくなりアイレベルに近づく
- 平行な線は必ず1点に集まる
- アイレベルに近づくほど奥行きが短くなる
これもパースの基本。初心者のために詳しく丁寧な構成です。
遠くにあるほど小さく見える、という図解。「遠くにあるもの」ほどアイレベルから近い。
平行な線は見る角度を変えると、必ず消失点へ向かう、というパースの基本。
パースは遠くのものほど小さく見える。と同時に見える奥行きも、せばまる。
何十キロも離れたビル群などは、奥行きがせばまりすぎて、もはや平面に見えます。
角度別透視図法
角度による見え方の違いを、各透視図法で解説しています。
- 一点透視図法
- 二点透視図法
- 三点透視図法
各透視図法の描き方を説明しながら、いろんな角度での見え方も載っています。
例えば「一点透視図法でこんな構図描けるんだ!」など、背景を描くときの幅も広がりそうです。
まずは基本の一点透視図法の描き方。
画角(見え方)についての解説からはじまり、読む人がきちんと理解できるように、歩幅をあわせて説明されています。
一点透視の次のステップ、二点透視図法。
消失点が2つになるので、線がどっちへ向かうのか行方不明になることも。
本書では実際に線を引いてみるテストがあったり、著者の線の引き方なども載っています。
透視図法の中で一番難易度が高い三点透視図法。
描くときの注意点なども交えて、わかりやすい言葉選びとイラストで解説しています。
と、ここまでで背景を描く基礎は、身につく内容となっています。
背景の描き方系の本では、だいたいこの辺りの知識にとどまっていますが、本書はスペースドローイング。
空間を活かす演出の知識が載っています。それが次のパート。
レンズによる演出
レンズによる演出。通常のカメラで見たときとは違う演出ができます。
本書で解説されているレンズ演出は下記の2つ。
- 広角レンズ
- 魚眼レンズ
画角について、詳しく学べる内容です。
画角を使い分けることによって、見せたいものや与えたい印象などを操作できます。
広角レンズの見え方や、使うと効果的なシーンの解説。
この知識を知っているだけで、描くイラストに伝わる情報量が違ってきます。
魚眼レンズの描き方を解説。消失点は5つとります。
面白い効果が期待できるのも魚眼レンズの特長ですね。
今までで一番わかりやすい解説でした。
こんなの描いてみたいなー、と思わせるイラスト。とても参考になります。
いろいろな形の物を描いてみよう
町中にある、いろんな物の描き方を解説しているパートです。
- 横断歩道
- 円・タイヤとホイール・窓
- 三枚窓
- 坂・階段
横断歩道では増殖法の解説。
そして円やタイヤでは、パースに沿った楕円の描き方なども。
上図では窓の描き方。三枚窓では分割法なども学べます。
以上がスペースドローイング入門の内容です。
完全初心者でも理解できる内容。読者のことを気遣って書かれている点が、随所から感じられました。
空間を活かした背景が描きたい人はもちろん、背景が苦手な人にこそおすすめな1冊です。
スペースドローイング入門のレビュー
スペースドローイング入門で学べる内容の要約です。
パースの基本
背景を描くときに必ず必要になるパース。その基本をしっかりおさえられていました。
背景を描く知識が全くない人でも、理解できる図解イラスト。
視座を低くして、とことん優しく丁寧に解説している点が好印象でした。
各透視図法の描き方
一点~三点透視図法の描き方。
同じ透視図法でも、いろんな角度からの見え方を学べます。
この角度による学びが、透視図法の理解と、背景を描くときのアイデアにつながりそう。
他の本にはない独自の切り口がありました。
魚眼パースの描き方
正直、魚眼レンズのパースについて学べる本はほとんどないので、それだけで貴重です。
本書のいたるところで、魚眼レンズを使ったイラストがあるので、著者の得意分野かもしれません。
なにかと難しい印象の魚眼レンズが、とてもわかりやすく解説されています。
もはや魚眼パースを知るためだけに持っててもいいくらいです。
空間の活かし方
「レンズによる演出」のパートでは、画角を使いこなすことによって。得られる効果を学べます。
例えば「キャラクターの表情や雰囲気を強調する」ために、こうやって広角レンズを使うといいよ、など。
透視図法の描き方パートでの、角度による見え方も、こういうところで活かせそうです。
スペースドローイング入門はこんな人におすすめ
読んだ所感は「こんなに優しいパースの本ははじめて」でした。
わかりやすいパースの本では「パース塾」がありますが、それよりもさらにテクニカルな内容となっています。
空間を活かした背景を描きたい人はもちろん、背景を描くためのパースを学びたい人にもおすすめです。
- 背景の描き方を知りたい人
- 背景に苦手意識がある人
- 背景を学び直したい人
- 日常溢れる町中を描きたい人
- 画角を知りたい人
- 空間を活かした背景を描きたい人
スペースドローイング入門レビューまとめ
スペースドローイング入門のレビューでした。
街で暮らす人々を描くには、うってつけの空間演出。
本のタイトルに「背景の描き方」としないところが、著者のこだわりを感じます。
空間を活かしたイラストが数点載っているので、単なる背景の描き方の本と違い、読み物として手元に置いとくのもいい感じです。
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