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評価:5
勉強したくてもなにかと難しいデッサン。人体構造を理解したほうが説得力がでて、絵がうまく描けるのはわかっている。
そんなときに役立つイラストの描き方の本がこちら。
「モルフォ人体デッサン-形態学による人体を描くための新テクニック」です。
これはどんな本なの?
形態学をもちいて人体を描く新しいデッサン本だよ!
形態学?なにそれ!!
人体を解剖して学ぶ美術解剖学と違い、人体の形態から構造や特徴を学ぶ絵の描き方です。
なので解剖学のように難しくなく、人のあるべき形を知るだけでいいので、デッサン初心者でも分かりやすい内容になっています。
絵が上手くなるための本はいくつかありますが、人体構造を学べる点では取っつきやすい本書。
というわけで本記事では「モルフォ人体デッサン-形態学による人体を描くための新テクニック」の内容とレビューを書いていきます。
クリックできる目次
モルフォ人体デッサンの内容
「モルフォ人体デッサン-形態学による人体を描くための新テクニック」の内容を本書の目次に沿って紹介していきます。
目次は以下のとおり。
- 序文
- はじめに
- 頭部と頚部
- 体幹
- 上肢
- 肩
- 上肢
- 下肢
- 生体
「序文」と「はじめに」をあわせて合計約30ページのボリュームです。
この約30ページで『モルフォデッサン』と、人体についての解説があります。
解説こそ文章が多めですが、それ以降はデッサン絵が主体で、人体構造が理解しやすい構成になっています。
「序文」は2ページしかないので本記事では割愛します。
はじめに
この章では、モルフォジー(形態学)とエコルシェ・デッサンについて解説。
解説の要約はこんな感じです。
デッサン時にはフォルムが決まる部位だけを輪郭の内側に、骨や筋肉、脂肪などを描き込んでいく。
各人体部位の位置関係を予測し、骨の基準点を描き込む。
その骨の基準点をつなぎ、肉付けし、詳細を描き込んでいく。
各解説があったあと、エコルシェ・デッサンに基づいて人体構造に触れていきます。
構成はデッサン絵と解説文。
筋肉や上肢・下肢などがどういう構造・位置関係にあるかを解説しています。
頭部と頚部
この章からは解説文はほとんどなしで、デッサン絵だけで人体構造を説明しています。
上図は頭蓋骨の図解。
骨からどう筋肉がついているのかを見て学ぶことができます。
頭部と頚部の章では、頭から体をつなぐ首までの骨格、筋肉のつき方が解説されています。
体幹
体幹の章は鎖骨から股までの図解。
胸郭(胸を取りまく骨格)とそれを覆う筋肉のつき方が見てとれます。
前面と背面、側面。連動する筋肉の動き方などを把握するのにも役立ちます。
解説文は必要最低限にとどまり、一貫しているのは、各筋肉どうしのつながりに重点を置いていること。
筋肉同士のつながりが分かることで、スムーズに人体を描けるようになります。
肩
肩の章は、鎖骨・肩甲骨、隣接する筋肉の図解。
肩は意外と可動域が広く、いくつもの筋肉が連動して動きます。
肩は腕と連動していて、腕はよく動かす部分。
つまり腕と連動している肩付近の骨や筋肉も、それにつられてよく動きます。
上肢
上肢の章は、腕と手の図解。約50ページにわたり詳しく載っています。
手は複雑ですが、筋肉の動きはそれほどありません。
なので手は12ページほどの図解。章のほとんどは腕に終始しています。
腕は回転域が広く、回すと筋肉がねじれる複雑な部位です。
腕ではなく手首を返すことでもねじれる筋肉。この構造はぜひとも理解しておきたい要素です。
手は筋肉より骨格がメイン。手の輪郭の中に骨格があるイメージで図解は進んでいきます。
下肢
下肢の章は、脚(股から足首まで)と足(足首から下)の図解。
脚の中でもヒザは曲げると表情が変わります。なのでその構造を理解することが大切。
脚全体の前面・背面・側面。脚を伸ばしたときと曲げたとき。
その骨格と筋肉のつき方・動き方を詳細に図解されています。
足もいろんな角度や形で図解。どういう風に動くかも解説しています。
生体
生体の章は脂肪のつき方と、これまでの筋肉の位置関係と構造。
身体のどこに脂肪がつくのか。男女での脂肪のつきやすい位置の違い。
脂肪のつき方によって体のフォルムが変わるため、体形の描き分けなどにも応用できる章です。
また人体模型のような筋肉の構造が見てとれる図解がずら~っと続きます。
モルフォ人体デッサンの使い方
モルフォ人体デッサンのカバーにも書いてある通り、本書とカバーで各部位を確認しながら読み進めていきます。
本書にはデッサン絵に数字や英文字が書きこまれ、カバーには数字や英文字に対応する部位の名称が記されています。
この数字と英文字を指すものは、
- 数字=筋肉の部位
- 英文字=骨格の部位
です。
モルフォ人体デッサンを使うときは、カバーを外して骨格や筋肉の動きを確認するのがベター。
特に筋肉は、「腕を回す」「腕を曲げる」などで使う筋肉が変わるので、把握しておくと絵を描くときに役立ちます。
各部位の名称を覚える必要はありませんが、その部位がどんな動きをするのかは覚えておきましょう。
模写といってもキレイに描き写す絵ではなく、“構造を理解する”ことに重点をおいた模写です。
「ここはこうなっている」と頭で構造を把握しながら、その構造を手で描き殴る。
頭で理解しながら、同時に手に覚えさせる。
頭と手が覚えるまで何回も描きます。
モルフォ人体デッサンのレビュー
モルフォ人体デッサン-形態学による人体を描くための新テクニックは、美術解剖学のような内容。
写実的なデッサンの描き方ではなくて、その写実的なデッサンを描くために必要な人体構造への理解を助けてくれる本です。
そのため絵を始めたての人には難しい。
ただ言葉による解説は少なく、ほとんど絵で解説しているのでとっつきやすく感じました。
今まで数冊、美術解剖学や人体構造についての本を読んできましたが、その中でも圧倒的に分かりやすいです。
というのも、豊富な絵で視覚的に理解でき、あらゆる角度・動きで見え方が学べるので。
デッサン本に慣れていない人は、筋肉などの図解絵を見るだけで、
と感じるかもしれませんが、それは最初だけですぐに慣れます。
デッサン本なので絵をはじめたての人にはおすすめしませんが、もっと本格的に上手くなりたい人にはおすすめの本です。
また、デッサンをこれから学んでいきたい人にもおすすめです。
モルフォ人体デッサンレビューまとめ
モルフォ人体デッサン-形態学による人体を描くための新テクニックの詳細レビューでした。
全くの絵の初心者には向いていませんが、本格的に画力を上げたい人には最適な1冊。
骨格や筋肉のつながり、動き。そしてあらゆる角度から人体構造を学べます。
まずは構造を頭に入れながら、手で何度も描いて覚えるのがおすすめです。
モルフォ人体デッサンはシリーズ化されているので、他のもおすすめです。
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