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評価:4
絵が上手くなりたいので人体構造を勉強しよう!と思っていても、解剖学系の本では筋肉がメイン。骨格については少ししか書かれていないことがほとんです。
もっと骨格について知っておきたい。ガイコツのキャラを描くための資料が欲しい。
そんなときにおすすめの美術解剖学の本が「骨格の書-医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学」です。
本書は骨格の解説のみならず、それを描くための作成ステップも解説されています。
タイトル通り”骨格”に終始しているため、その骨にどう筋肉がつくかの解説はありませんが、人体の骨格を知るには申し分ない内容です。
本記事ではそんな本書「骨格の書-医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学」の内容を詳しく紹介しつつ、レビューしていきます。
- 骨格について解説
- 正面・側面・背面の3方向からの骨格の見え方
- 骨格を描くための作成ステップの解説
クリックできる目次
骨格の書の内容
「骨格の書-医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学」の目次は以下のとおり。
人体を「首・頭部」「胴体」「上肢」「下肢」の4つにわけ、それぞれ「正面」「側面」「背面」から図解する構成です。
Chapter1 首・頭部×正面
このチャプターでは正面から見える、首から上の骨格について書かれています。内容は以下。
- 眼窩
- 梨状口
- 頭蓋骨・頬骨
- 歯・上顎骨
- 下顎骨
- 胸骨柄・鎖骨
- 脊椎コラム
下図は首・頭部の作成ステップ。歯・上顎骨についてです。
歯の並び、手前は大きく遠くほど小さく描くや、犬歯、奥の方にある大臼歯についても書かれています。
ほかにも、下顎(あご)や鎖骨に繋がる首の骨格についても詳しく描かれています。
とくに首は複数の細かい骨(脊椎)が連なっており、カーブ具合や1つ1つの骨の大きさなども、図解をとおして把握できます。
Chapter2 首・頭部×側面
首・頭部を側面から見たチャプターです。内容は以下。
- 眼窩・梨状口
- 頭蓋骨・頬骨
- 歯・上顎骨
- 下顎骨
- 胸骨柄・鎖骨
- 脊椎
- 舌骨
下図は頭部と鎖骨を繋げるステップの図解です。
鎖骨の位置の目安となる胸骨柄と、頭部の距離の測り方などが書かれています。
そのほかに横から見たときの頭蓋骨の解説、頸椎の間隔や厚さについても書かれています。
Chapter3 首・頭部×背面
首・頭部を背面から見たときのチャプターです。内容は以下。
- 頭蓋骨
- 歯・上顎骨
- 下顎骨
- 脊椎
背面から見たときは首の繋がりがメインになります。
下図は脊椎の繋げ方について。
以上で、首・頭部のチャプターは終わりです。
Chapter4 胴体×正面
正面から見た胴体のチャプターです。内容は以下。
- 骨盤
- 脊椎
- 胸骨
- 肋骨
- 肩甲骨
下図は肋骨の作成ステップ。
肋骨の下2本の浮肋は、背中から前側に回り込ませず、浮かす。前面の肋骨と背中側の線に、濃淡をつけることでほどよい遠近感を出す。などが解説されています。
他にも正面から見たときの骨盤についても書かれています。
Chapter5 胴体×側面
側面から見たときの胴体のチャプターです。内容は以下。
- 骨盤
- 胸骨柄・鎖骨
- 脊椎
- 肩甲骨
- 胸骨体・肋骨
下図は背骨についての作成ステップ。
頸椎・胸椎・腰椎の3つに別れるいわゆる背骨。全部で24個の骨から連なり、1つ1つの高さ(大きさ)や描く位置まで細かく記載されています。
そのほかに肩甲骨についても書かれています。
Chapter6 胴体×背面
背面から見たときの胴体のチャプターです。内容は以下。
- 骨盤
- 脊椎
- 肩甲骨
- 肋骨
下図は肋骨の作成ステップ。
いくつかの目印をもとに肋骨を描く手順について書かれています。
Chapter7 上肢×正面
正面から見た上肢(腕・手)のチャプターです。内容は以下。
- 上腕骨
- 橈骨・尺骨
- 手掌
下図は上肢にある骨についての図解と解説です。
作成ステップでは、肩関節から腕、手まで書かれており、1つ1つの骨について比率や形まで知れます。
とくに手の骨の構造は絵を描くときに役立ちます。
Chapter8 上肢×側面
側面から見た上肢(腕・手)のチャプターです。内容は以下。
- 上腕骨
- 橈骨・尺骨
- 手掌
下図は手の骨格の作成ステップ。
第一中手骨の長さは掌部の全長の約半分。つまり手の平と母指球がくっついてる親指の関節部分は、だいたい同じ長さ。など各部位の比率についても書かれています。
Chapter9 上肢×背面
背面から見たときの上肢(腕・手)のチャプターです。内容は以下。
- 上腕骨
- 橈骨・尺骨
- 手掌
下図は上腕骨の作成ステップ。
上腕骨には外側上顆の傾斜角度は比較的急、内側上顆の傾斜角度は比較的ゆるやかに表現する。などの他の本では書かれていないようなピンポイントの情報も載っています。
要は肘関節の外側と内側で傾斜角度が違う、というお話です。
Chapter10 下肢×正面
正面から見たときの下肢のチャプターです。内容は以下。
- 大腿骨
- 脛骨・腓骨
- 足骨の俯瞰図
- 足骨の正面図
- 足骨
下図は下肢の作成ステップ。
骨盤と大腿骨の結合部分や、どのように描いていくかが書かれています。
そのほかにもヒザ関節やスネ、足の部分の解説もあります。
Chapter11 下肢×側面
側面から見た下肢のチャプターです。内容は以下。
- 大腿骨
- 脛骨・腓骨
- 足骨
下図は脛骨と腓骨(ヒザより下の骨)の作成ステップ。
ヒザより下の骨は脛骨と腓骨からなり、それぞれの関節面や幅などの解説があります。
Chapter12 下肢×背面
背面から見たときの下肢のチャプターです。内容は以下。
- 大腿骨
- 脛骨・腓骨
- 足骨
下図は足骨の作成ステップ。
後ろから見たときの足の骨がどうなっているのか、どう描くのかが解説されています。
以上が骨格の書 医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学の内容です。
骨格の書のレビュー
人体の骨格を正面・側面・背面の3方向から図解されています。
本の構成は骨の解説をしたのち、それを作画する手順を、頭部・胴体・上肢・下肢の各4つのパーツごとに描かれています。
作画ステップはかなり細かく、頭蓋骨は10マス、歯冠の高さは0.5マス分など比率がわかるため、感覚で描くと崩れてしまうバランスを防ぐことができます。
その反面、0.8や1.1などキチっとしすぎているあまり、あるていど感覚で描きたい派には少し窮屈になりそうです。
とはいえ、ザックリでも比率を覚えると全体のバランスは取れる(比率は個体差があるため)ような感じ。
作成ステップと呼ばれる描き順がメインのため、関節部分の詳しい付き方やひざを曲げたとき、腕を回したときなどの、動作を伴う見え方は書かれていません。
人体の骨はこうなっていて、こう描くんだ。と知りたい人向けです。
本書は骨格のみなので、筋肉について詳しく書かれている「スカルプターのための美術解剖学」とあわせてもっておくと重宝します。
実写・3D・イラストを駆使して、筋肉の付き方や動き方などを学べる良書です。
人体解剖学などの本で筋肉について書かれているものはあれど、骨についてはそこまで書かれていないものがほとんど(メインは筋肉であるため)。
なので骨格について詳しく知りたい、そんな人におすすめの本です。
骨格の書はこんな人におすすめ
「骨格の書-医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学」をおすすめするのはこんな人です。
- 人体の骨格について知りたい
- 骨格の描き方を知りたい
- ガイコツや骨のキャラクターを描くための資料が欲しい
1冊まるごと人体の骨格について書かれている本です。
骨の構造だけでなく、作成ステップと呼ばれる作画手順も載っているため、絵描きに向いています。
ただ作成ステップで書かれている比率や、各骨の大きさ、位置などは寸分の狂いがない程細かく記載されています。
製図のような描き方なので苦手な人は苦手そう。
しかし骨格の構造やだいたいの比率は知れるので、それだけでも絵を描くときに役立つことは間違いありません。
骨格の書の書籍情報
書籍名 | 骨格の書 医学部解剖室の准教授が教える 美術解剖学 |
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ページ数 | 256ページ |
著者 | 鍾全斌 |
出版社 | ボーンデジタル |
発売日 | 2023/10/24 |
価格 | 4,400円 (電子:4,400円) |
著者は厦門医学院医学部基礎医学科解剖室の准教授であり、美術解剖学の授業を行っている。
また日本イラストレーター協会ブロンズ賞や、ドイツレッド・ドット・デザイン賞、グローバルデザイン賞など、数々の賞も受賞している。
骨格の書のレビューまとめ
骨格の書-医学部解剖室の准教授が教える美術解剖学のレビューでした。
絵を描くために人体の骨格も知っておきたい、そんなときに手元にあると便利な本です。
- 骨格について解説
- 正面・側面・背面の3方向からの骨格の見え方
- 骨格を描くための作成ステップの解説