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マンガにとって重要な1話目。その構成を大ヒット漫画ワンピースを例にとって分かりやすく解説していきます。
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漫画の1話目は三幕構成が描きやすい
漫画の構成を練るときは、すでにあるストーリー理論にあてはめると描きやすいです。
ストーリー理論とは、
- 起承転結
- 序破急
- 三幕構成
といったストーリーを作るときのフレームワーク。
ワンピースの1話目は、その中で三幕構成によって成り立っています。
三幕構成とは?
三幕構成は、シド・フィールドによって理論化された、ストーリー作りの構成です。
ハリウッド映画やマンガなどでもよく使われていますね。
三幕構成は、名前の通り3つの幕によって成り立っています。
- 【1幕目】設定
- 【2幕目】対立
- 【3幕目】解決
各役割はおおまかにいうと、
その作品の登場人物や世界観などを描く。
主人公の目的を阻む、何かしらの人物との対立。または障害にぶつかる。
2幕目の対立・障害を乗り越え、そのストーリーの結末を迎える。
これが三幕構成のおおまかな流れです。
三幕構成で作るストーリについては、下記の記事で詳しく解説しています。
初心者でもわかる!三幕構成でのストーリーの作り方を徹底解説!▼三幕構成の基礎を固めたシド・フィールドの脚本術はこちら▼
脚本なので映画以外でも、漫画・小説・ゲームなど、あらゆるストーリー制作に役立ちます。
ワンピース1話目のプロット
三幕構成の観点からみても、ワンピース1話目はその理論に当てはまっています。
まずは1話目のプロット(ストーリーの流れ)を見ていきましょう。
大まかな流れは下記のような感じ。
- ルフィの村に海賊が停滞し、海賊を志すようになる
- 海賊になるため、シャンクスに自分も連れて行けとお願いする
- しかしシャンクスは連れていってくれない
- 山賊に絡まれるシャンクス、ルフィは山賊にケンカを売るが歯が立たない
- シャンクスに助けられ、その偉大さにいつかこんな男(海賊)になりたいと思う
- シャンクスから励ましの言葉と、麦わら帽子を預かる
- 数年後ルフィは強くなり、海賊になるため海へ出る
この流れの中で、読者に伝えなければいけないことや、ストーリーが面白くなるフックが盛り込まれています。
それでは三幕構成とワンピース1話目の構成を解説していきます。
三幕構成の理論とワンピース1話目のストーリー構成
ワンピース1話目は三幕構成の「設定」をみせる1幕目だけで構成されています。
では三幕構成の設定では、どんなストーリー構成になっているか。
これは下記の2パターンあります。
- 能動的な性格の主人公
- 受動的な性格の主人公
能動的な性格とは、自ら積極的に行動していく性格のこと。
一方、受動的な性格とは、自らあまり動かず受け身な性格のことです。
ワンピースのルフィは能動的な性格なので、パターン1の流れとなります。
能動的なストーリーの流れ。
- 目的のキッカケを得る
- 目的を達成するため、能動的に動く
- しかし拒絶される(挫折する)
- 目的を本当に達成できるのか?と読者に問いかける
(どうなってしまうんだ!この後の展開が気になる!の効果) - 目的の再提示
- メンターの手助けを得る
※メンターとは主人公の力になってくれる存在のこと - 目的達成のために旅立つ
この流れの中で一番重要なのは「主人公の目的が拒絶される(挫折する)」です。
この段階がないと物事がスムーズに行きすぎて、ストーリーとして面白みに欠けてしまいます。
ドキュメントでも紆余曲折、山あり谷ありの方が見ていて面白いですよね。
目的が拒絶される(挫折する)ほうが見ている人にとっては、その後の展開が気になり、面白く感じてくれます。
では、ワンピースの1話目の構成と、3幕構成の流れを見比べてみます。
- ルフィの村に海賊が停滞し、海賊を志すようになる
→ 目的のきっかけ - 海賊になるため、シャンクスに自分も連れて行けとお願いする
→ 目的達成のため、能動的に動く - しかしシャンクスは連れいってくれない
→海賊になるという目的を拒絶される。 - 山賊に絡まれるシャンクス。ルフィは山賊にケンカを売るが歯が立たない
→自分の弱さを知り、そんな弱い自分で本当に海賊になれるのか(さらに悪魔の実で泳げなくなる)
→目的が達成できるのか?の問いかけ - シャンクスに助けられ、その偉大さにいつかこんな男(海賊)になりたいと思う
→目的の再提示 - シャンクスから励ましの言葉と、麦わら帽子を預かる
→メンターの手助けを得る
さらに麦わら帽子を預かる=海賊になって海に出る後押しをくれる - 数年後ルフィは強くなり、海賊になるため海へ出る。
→目的達成のために旅立つ
しっかり3幕構成の理論にもとづいていますね。
最後が「目的達成のために旅立つ」なので、これから目的のためにたくさんの物語がつづられていきます。
ストーリーの流れについてお話したので、次は1幕目の役割についてお話していきます。
1幕目の役割は、漫画の1話目で重要なものを満たしてくれます。
漫画の1話目ではなにを見せるのか?
漫画の1話目では、作品の根源となる設定を伝えることが重要です。
作品の見せるべき設定とは、
- 主人公は誰か
- 作品の世界観
- その世界観における主人公の立ち位置
- 主人公の目的
- 主人公の旅立ち
です。
これらが描かれていないと、読者は作品に感情移入することができません。
「主人公が誰かわからない」
「主人公がなにをしたいのかわからない」
「どういった世界観なのかわからない」
これでは作品に入り込むことができませんよね。
なので三幕構成の1幕目「設定」では、読者に事前情報として作品の設定を伝える役割があります。
「ワンピース」でもしっかりと役割をはたしています。
- 主人公は誰か:ルフィ
- 作品の世界観:大海賊時代
- その世界観における主人公の立ち位置:海賊になりたい村の少年
- 主人公の目的:海賊王になる
- 主人公の旅立ち:海賊王になるため、海へでる
これらの要素を、ストーリーの流れの中で上手く描きましょう。
漫画の1話目を「設定」だけで構成する理由
漫画の1話目を三幕構成の1幕目「設定」だけで構成する理由。
その理由は簡単で、1~3幕目まですべてを盛り込むには、ページ数がたりないからです。
仮にすべて盛り込むとしたら、読切マンガや1話完結の話を描くにはかなり詰め込まないといけません。
とても既定のページ数には収まらないないんですね。
三幕構成はもともと、1時間以上ある映画の基礎として確立してきました。
それを漫画用に応用しています。
マンガ賞や読切作品は、だいたい30~50ページくらいでしょうか。
映像にすると30分もないくらいですね。
なので読切作品の場合は、1幕目の設定だけでストーリーを完結させても大丈夫です。
ただ読切作品の場合は、ストーリーを完結させないといけないので、最後の「目的達成のために旅立つ」の部分を「目的を達成する」に置きかえましょう。
ストーリーの流れとしては下記のようになります。
- 目的のキッカケを得る
- 目的を達成するため、能動的に動く
- しかし拒絶される(挫折する)
- 目的を本当に達成できるのか?と読者に問いかける
- 目的の再提示
- メンターの手助けを得る
- メンターの手助けを得、主人公自ら行動し目的を達成する
最後は、主人公の頑張りで目的を達成するようにしましょう!
読み切り漫画の描き方はこちらで解説。
本格的な読み切り漫画のストーリー構成のコツ!それは3つの要素で描くこと漫画1話目の構成の作り方まとめ
面白いストーリーをつくるには、感覚ではなく理論が必要になってきます。
理論というと少し難しいかもしれませんが、面白くするための「方法」や「やり方」と思えば簡単に感じられるかもしれません。
本記事で軽く解説した「三幕構成」は奥が深く、とても面白いです。
面白いストーリーを作るのにかかせません。
マンガを連載していくならストーリーはより複雑化していくので、2幕目・3幕目の理論が役に立ちます。
さらに3幕構成を使いこなせるようになると、読切マンガなどのページ数が限られていても、3幕すべての理論を適応させてつくることも可能になります。
でも最初は難しいと思うので、1幕目のつくり方からはじめてみてはいかがでしょうか。
漫画の描き方とテクニックについては下記の記事をご覧ください。
【漫画の描き方】制作手順と初心者でも身につくテクニックを伝授 初心者でもわかる!三幕構成でのストーリーの作り方を徹底解説! 本格的な読み切り漫画のストーリー構成のコツ!それは3つの要素で描くこと
とても面白かったです!
次は受動的な主人公の場合やヒューマンドラマ系のコツも知りたいです。
ありがとうございます!
機会があればそのような場合も描きたいと思います!