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評価:5
マンガってどうやって描くの?原稿用紙に枠で区切って、中にセリフと絵を入れればOK?
そんなことはありません。それだと読者に状況やシーンなどが伝わらなかったり、そもそも面白さも伝わらなかったりします。
漫画の描き方の本でもこのことについて触れているものは少なく、マンガ迷子になりがちです。
では何を意識すればいいのか?それはマンガの文法、マンガとしての表現方法です。
そしてそのマンガ表現を教えてくれるのが本書「マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編」です。
ここまでマンガの技術を言語化して解説されてる本は貴重。これから漫画を描く人や、すでに描いてる人でさえ勉強になる必読書です。
というわけで本記事では「マンガのマンガ 伝わるマンガの描き方編」の内容・レビューについて書いていきます。
クリックできる目次
マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編の内容
「マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編」の内容を本書の目次に沿って紹介していきます。
目次は以下のとおり。
- ビジュアル表現5つの基本
- 視線誘導のテクニック
- イマジナリ―ラインって?
- メリハリのあるコマ割りで面白く
- 描き文字はビジュアル手段
- マンガ表現を適切に
- 特別講義
- まとめ
本当は目次の文章がもっと長いんですが、分かりやすくするために少し端折っています。
全編マンガで描かれているので理解しやすく、基本的なこと、でも大切なことを授業形式で解説しています。
それでは各パートの内容をそれぞれ見ていきましょう!
ビジュアル表現5つの基本
ストーリーマンガを描くとき、この5つの基本をおさえれば、分かりやすい表現になる。というもの。
この基本はものすごく大切です。その5つの基本とは、
- シーン冒頭に人物と背景が入った状況説明
- 人物の位置関係が分かる1コマ
- セリフと人物は1コマ内に対応させる
- 何をしているか分かる絵を描く
- コマとコマに関連性をもたせる
マンガの基本ですね。
でも分かりにくい漫画は、どれか1つでも描けていないことが多いです。
その例として本書で挙げられているのが下図。
初心者とかはこういった描き方が多いですね。
描き手の自分では状況が分かっているから、この表現でも伝わると思ってしまう…。
この章では例として挙げた上図を、5つの表現基本にならい添削。1~5ある基本を丁寧に1つずつ解説しています。
視線誘導のテクニック
作品内に流れる時間を操作し、テンポよくコマ展開させる視線誘導のテクニックです。
コマを見ていく順番として下図があります。
マンガは上図の番号順に読み進めて行きますよね。
これはマンガの暗黙のルール。でも順番に読んでいくのはコマごとだけではありません。
1つのコマの中にも、読む順番があります。これを意識するのとしないのとでは大違い。意識するだけで格段よみやすいマンガになります。
そして読者を分かりやすい順番に導いてあげるのが視線誘導のテクニック。本章で解説されてる視線誘導のテクニックはこちら。
- フキダシの位置
- キャラクターの動きの方向
- 描き文字の位置・方向
これらはストーリーに流れる時間軸を基準にした、視線誘導のテクニックです。
例で挙げられている1ページは、その視線誘導を意識していないもの(下図)。
ストーリーに流れる時間軸と、視線の誘導が逆行している例です。
もちろん時間軸と視線誘導を一致させた添削例・解説が載ってあり、感覚ではなくテクニックとして視線誘導を学べます。
視線誘導が悪いとなんとなく読みづらいマンガに。細かいことですが、それが積み重なると読者はもう読み進んでくれません。
この視線誘導は必ず身につけなければならないテクニックの1つです。
イマジナリ―ラインって?
イマジナリ―ラインの解説です。イマジナリ―ラインとは、キャラ同士を結ぶ線のこと。
マンガで絵を描くときはあまりカメラワークを意識していないかもしれません。
ですがコマからコマへ移るとき、このカメラワークの視点は大切になっていきます。
その1つがイマジナリ―ラインを超えないこと。つまり簡単にいうと、キャラの位置や向きをいきなり入れ替えないことです。
現実世界では一瞬にして目の前の人の位置が入れ替わる。なんてことありませんよね。
まばたきした瞬間に入れ替わっていたら、きっと混乱します。
このイマジナリ―ラインを超えると、それと同じことが漫画でも起こってしまいます。なのでイマジナリ―ラインは超えないことが基本です。
本章ではイマジナリ―ラインの解説とともに、どう見せればイマジナリ―ラインを超えないか、その表現についても解説されています。
メリハリのあるコマ割りで面白く
単調なコマ割りよりは、メリハリの効いたコマ割りの方が面白く見せられます。
コマの大小もそうですが、コマの中に入る絵でもメリハリをつけられます。これも大事な要素。
コマ内の絵でメリハリをつけるのはこのあたり。
- キャラクターのボリュームの変化
- ショットの変化
- アングルの変化
本章も1ページを例に、どうすればメリハリがつくコマ割りになるかを、添削ベースで解説されています。
添削前のメリハリがないコマ割りは下図。
構図としてもメリハリがなく面白みに欠けていますよね。
初心者がよくやってしまう見せ方ですが、添削後の例は劇的に変わっています。
描き文字はビジュアル手段
マンガ表現であなどってはいけない描き文字。
描き文字は単なる文字ではなくて、絵だけでは伝わりにくいビジュアル情報をつけ加えることができます。
本書のシリーズで「マンガのマンガ コマ割りの基礎編 」で解説があった3つのポイント。
- 大きさ
- 位置
- 形状
それ以外に本章では下記のテクニックについて解説されています。
- 言葉の選択
- 配置場所
- 固まりで描く
- 1種類に絞る
- 読ませる方向
1つ例を紹介すると下図の1コマ。
描き文字の位置が違うだけで、意味合いが変わってきます。
描き文字はその位置も重要。
こういった表現方法を知らないと、うまく読者に伝えたいことが伝えられませんね。
特別講義
特別講義はある題材を、「ストーリーマンガ基礎表現教室」に参加した方が描いた作品を添削する、といった内容です。
ここまでの章で解説されてきた内容をふまえ添削し、読みやすいマンガ表現にしていきます。
マンガ表現のテクニックを覚えても、それを使いこなせないと意味がありませんよね。
本章では数ページ分の短いストーリーを例にとって、わかりやすいマンガ表現のテクニックを使って直していきます。
また次章のまとめでは、マンガ表現を要約してわかりやすく伝えてくれます。
あなたの描くマンガに劇的な進化をくれる1冊です。
マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編のレビュー
マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編は間違いなく初心者は絶対に読んだ方がいい本です。
初心者じゃなくても読めば役立つ内容があります。マンガの描き方というと、
- 制作手順
- ストーリーやキャラの作り方
- コマ割り
といった内容の本が大多数ですが、本書は違います。マンガで表現するとはどういうことか、に追求しています。
絵が描けないとマンガは描けない?いいえ、描けます。むしろこのマンガ表現を身につけないとマンガは描けません。
初心者のみならずマンガ描きなら、ここまでマンガの技術を言語化し、解説しているのはとても勉強になります。
これが本当の「マンガの描き方」。
作者の、かとうひろし先生は専門学校でもマンガを教えていらっしゃるそうです。
上手くマンガが描けない生徒と向き合って、初心者がなぜマンガが描けないのか。
どうすれば上手く描けるようになるのか。そしてそれを伝えるためにはどう説明すればいいのか。
きっと試行錯誤を繰り返して、たくさんの生徒さんに教えてこられたのだと思います。
それが本書で形になった。その経験があったからこそ、とても分かりやすい「マンガの描き方」がここまで完成されたのだと感じました。
この本と出会えて感謝、そう思える1冊でした。
マンガ描けなくて悩んでる、またはもっとうまくなりたい!と思ってる方には超絶おすすめする本です。
ちなみにこのシリーズの「マンガのマンガ コマ割りの基礎編 」もおすすめです。
マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編レビューまとめ
マンガのマンガ伝わるマンガの描き方編の内容とレビューでした。
マンガで表現するとはどういうことか。それを体系的に学べる本書。
おそらくわたしが今まで読んだ「マンガの描き方」系の本で一番わかりやすく実践的です。
初心者は必読。これ1冊で読みやすい・わかりやすいマンガの表現方法が身につきます。
あわせて「コマ割りの基礎編」もおすすめです。
漫画のコマ割りにおすすめの本2選!初心者はこれでうまくなる 漫画の描き方でおすすめの本17選!デジタルマンガ・テクニック・SNSなど目的別に紹介