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評価:4.5
デジタルでイラストを描いていると、必ずこの壁にぶち当たります。
とはいえ、今ではWEBやSNSで公開しているマンガ作品にも、カラーは数多くあります。
ということで手にした本は「プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術決定版」です。
このプロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術決定版は、プロ絵師10人の塗りの技術を解説付きで学ぶことができるおすすめのデジタルイラスト本です。
イラストの塗りといってもその種類はいくつかあり、本書で解説しているのは以下の塗り方。
- アニメ塗り
- ブラシ塗り
- 水彩塗り
- 厚塗り
- ギャルゲ塗り
- 宝石塗り
さらに「水彩」+「厚塗り」などの合わせ技も。
このようにイラストの塗り方も複数あるから、いざ自分で塗ってみようと思ってもうまくできないことがあります。
まずはどの『塗り』にするかを決め、その塗り方のスキルを学ぶこと。
これがイラストの塗りを上達させる方法です。
いろんな『塗り』を紹介し、プロが使うそのテクニックを解説している本書は、あなたの塗りの技術をアップさせるのに最適。クリスタを使っている人におすすめの本です。
プロ絵師さんの使用するツールや設定もわかるので、プロ絵師さんの塗りの技術に近づくことができますよ。
練習用の線画も手に入るので、本書を見ながら塗りの練習すると上達も早い。まさにプロの塗りを習得するには最適の1冊です。
ただし、あくまでも「塗り」の技術。基礎的なデッサン、立体を意識したイラストが苦手な方には難しいかもしれません。
ただ上手いイラストを描くには避けて通れない「塗りの技術」。学んで損することはありません。
ということで、本記事では「プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術決定版」の感想と内容のレビューをしていきます。
クリックできる目次
プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術の内容
「プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術決定版」の目次は以下のとおりです。
- アニメ塗り|月森フユカ
- ブラシ塗り|玄米
- ブラシ塗り|美和野らぐ
- ブラシ+厚塗り|吉村拓也
- 水彩塗り|紅木春
- 水彩+厚塗り|青紅
- 厚塗り|吉岡愛理
- 厚塗り|江川あきら
- ギャルゲ塗り|鈴城敦
- 宝石塗り|珠樹みつね
どの絵師さんの解説も、
- 線画・レイヤー構成
- ブラシ・キャンバス設定
- 肌や服などの塗り
- 仕上げテクニック
という流れで進んでいきます。
構図の解説や絵の描き方のワザなどは一切ありません。『塗り』に特化した内容です。
各構成は同じなので、主な塗りをいくつかピックアップしてその内容をお伝えしていきます。
アニメ塗り | 月森フユカ
- 設定画
- 肌を塗る
- 瞳を塗る
- 髪を塗る
- 服を塗る
- 仕上げテクニック
アニメ塗りの影はぼかさずベタ塗りが基本。
主にペンツールを使用した着色技術を、1工程ずつ丁寧に解説しています。
まずはおおまかに各箇所を下塗り・色分け。そこから影やハイライトなどを入れ、立体感を出していきます。
また『グロー効果』という、宝石やアクセサリーなどの塗りで使える、光輝くような表現方法も載っています。
ブラシ塗り | 美和野らぐ
- 肌を塗る
- 瞳を塗る
- 髪を塗る
- 服を塗る
- 仕上げテクニック
ブラシ塗りは、影のつけ方がはっきりしているアニメ塗りより、使うツールや設定は少し多め。
また瞳などの各箇所を塗るときの工程も、アニメ塗りよりも多く、ハイライトやグラデーションを多く使っています。
仕上げテクニックでは光の効果や、色収差(イラストに変化を加える加工)と取り上げています。
ブラシ+厚塗り | 吉村拓也
- 下塗り
- 肌を塗る
- 服を塗る
- 髪を塗る
- 瞳を塗る
ブラシ+厚塗りは立体感と描き込みの密度がポイントなので、やや上級者向けの塗り。
ブラシツールも、設定を変えたカスタムブラシを2種類使います。
立体感や描き込みの密度を上げるために、影を2段階つけ、ハイライトや明るい部分、塗りの調整など細かく仕上げていきます。
かなり細かく描き込みや調整をしていくので、塗りにかかる時間は多め。
ですがその分、完成したイラストは存在感のある作品に仕上がります。
水彩塗り | 紅木春
- 肌を塗る
- 瞳を塗る
- 髪を塗る
- 服を塗る
- 仕上げテクニック
水彩塗りは複数色の交わりや重なり、にじみの表現が特長です。
色を混ぜる繊細な作業になるので使用するブラシは、
- 鉛筆
- エアブラシ
- 筆
と種類も多く、さらに筆の中でも不透明水彩や、設定を変えた水彩筆4種類などを使い分けます。
色混ぜとにじみが特長の水彩塗りは、色使いも重要。
はじめは難しいですが、塗れるようになると味のあるイラストが描けるようになります。
仕上げテクニックでは主に色の調整を行います。
色調補正やカラーバランスなどで、イラスト全体の色味を整えます。
水彩+厚塗り | 青紅
- 肌を塗る
- 瞳を塗る
- 髪を塗る
- 服を塗る
- 仕上げテクニック
厚塗りのような色の重厚さを、水彩筆を使うことによってイラストに潤いや艶っぽさを表現できます。
筆のタッチやグラデーションで、明暗や質感を描いていきます。
夕日バックの構図上、その照り返しや夕日の色そのものを混ぜるのもテクニック。
さらに潤いや艶っぽさを出すために、ハイライトや照り返しのテクニックを習得できます。
仕上げテクニックでは光や影を追加し、逆光に見える表現を解説しています。
厚塗り | 江川あきら
- ラフを描く
- 顔を塗る
- メカボディを塗る
- 髪を塗る
- 仕上げテクニック
本イラスト作品は厚塗りの中でも、線画のない重厚な塗り。
線画を描かないのでラフ時に塗ったものが、着色していくときのベースとなります。
線がないので、立体感を出すために細部まで配慮して色を塗っていきます。
仕上げテクニックでは、服のデザインなど細かな個所の見せ方を、色味や明暗で調整していきます。
本書「プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術」には線画がある厚塗りも掲載されています。
また、線画のないイラストなら下記の本もおすすめ。
ギャルゲ塗り | 鈴城敦
- 肌を塗る
- 髪を塗る
- 瞳を塗る
- 服を塗る
- 仕上げテクニック
きれいなグラデーションを使用し、女の子を可愛く魅せる塗り方です。
女の子を可愛く魅せる塗りだけあって、細かくハイライトや照り返し、影や透明感などを入れ、演出していきます。
厚塗りに比べるとイラスト自体に軽い印象を与えます。
なので塗りも比較的簡単なように見えますが、細かな個所では丁寧な描き込みが必要です。
瞳の塗り1つ取っても、
- 下塗り
- 影1
- 影2
- 瞳孔
- 影と照り返し
- ハイライトを足す
- 潤いを足す
- 透明感を出す
と手間がかかっています。
仕上げテクニックでは色味の調整。合成モードを使いイラストの質を高めていきます。
宝石塗り | 珠樹みつね
- 宝石を塗る
- 髪を塗る
- 服を塗る
- 肌を塗る
- 瞳を塗る
宝石のようにキラキラ光る表現を使った塗り方。イラストが華やかになる手法です。
イラストを光らせるため合成モードを多く使うのも特長。
反射光の塗り方もポイントとなるので上級者向けですね。
「色トレス」という線画の色を周りの色と合わせる方法も解説。これにより線画が目立たず、自然な塗りになります。
仕上げテクニックでは、逆光や光のエフェクトを入れて完成させていきます。
プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術のレビュー
という感想。
瞳や髪の塗り方1つでも、『塗り』によって様々な手法、表現があることにビックリ。とても勉強になりました。
『塗り』によって表現方法や魅せ方が違うので、そこを理解せずに見様見真似で塗っていても上達しない。
本書の使い方としてはまずは自分の好きな『塗り』、もしくは完成のイメージにあわせて『塗り』を選んでやってみる。
どれか1つに絞って慣れるまで塗りを練習、実践することで上達していくイメージ。
そこから他の『塗り』の表現方法を取り入れて、徐々に自分オリジナルの塗りに昇華していくのが最適かと。
そして個人的にプロ絵師さんのレイヤー構成も見れたのが良かったかな、と。
独学でやっていると、たまに「これレイヤー分けたほうがいいのかな…?」とか
「レイヤー構成どうしたらいいの?」とか思うことがあるんですよね。
そういったことも解決。
またブラシの設定が見れるもうれしいところ。
10人のプロ絵師さんのテクニックを学べる本書ですが、その中でも私が好きなのは青紅さん。
潤い感たっぷりの可愛い女の子のイラストを描く絵師さんです。
その方の塗りのテクニックを見れたのも収穫でした。
たくさんの『塗り』のテクニックが満載なので見てるだけでも勉強になる。
ただデジタルイラストの塗りは、塗りで立体感を出すので、ある程度デッサンができないとうまく活かせないかもしれません。
とはいえ、『塗り』の技術を幅広く学べるので、デジタルイラストの塗りが苦手な方は一読の価値ありです。
プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術のレビューまとめ
プロ絵師の技を完全マスターキャラ塗り上達術の感想レビューでした。
様々な塗りの手法を使った例を解説しているので、まずはどれか1つに絞り実践していくことで、塗りが上達していきますよ。
練習用の線画もダウンロードできるので、いろんな塗りを試してみることをおすすめします。
イラストの塗りが苦手な方には、上達の助けとなるテクニックがたくさん詰まった良書です。