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評価:4.5
1つの背景を描くだけでも大変なのに、漫画だとたくさん描かなくてはいけませんよね。
しかも背景を描くのに必要な、パースの知識があっても漫画の背景を描くのは難しいです。
漫画の背景がやっかいなのは、
- キャラとあわす必要がある
- 消失点をどこにとればいいか迷う
- 1点や2点透視図法などどれを使えばいいのかわからない
- 背景といってもその全貌を描くわけではない
など、背景の描き方を知ってもそれを漫画に活かすのは、大変難しいです。
背景が苦手なわたしだからこそ、あなたと同じ目線で本当に役立つ本の紹介をすることができます。
漫画の背景をうまく描けないあなたにはズバリ!「マンガパースと背景の描き方の教科書」という本がおすすめ。
背景の描き方の本では珍しい、マンガに焦点をあてた内容です。
それゆえに背景の描き方だけではなく、以下のようにマンガのテクニックも解説しています。
- 構図の考え方
- コマの割り方
- 効果線の使い方
- 描き文字による効果
- フキダシの使いわけ
ただ単に背景が描けるようになって、コマの余白を埋めるためだけに背景を描くようになってはいけません。
漫画の背景にはきちんとした役割があるんです。それを教えてくれる良書です。
ただし内容は、『学園』に絞っているのでそこだけ注意が必要です。
というわけで、本記事では「【マンガパースと背景の描き方の教科書!感想レビュー】漫画でトコトン活用できる背景のあり方を学べる本」について書いていきます。
クリックできる目次
マンガパースと背景の描き方の教科書の内容
「マンガパースと背景の描き方の教科書」の内容を本書の目次に沿って紹介していきます。
目次は以下のとおり。
- パース・背景の基本
- コマの割り方・つくり方
- 魅力的な背景&コマを描いてみよう
内容は、上記のように3つのパートに大きくわかれています。
パース・背景の基本編では、
- パースの基本
- 1~3点透視図法をマスター
- 分割法や増殖法
- 坂道や曲がった道の描き方
- 階段の描き方
- 複数の人物にパースをつけて描く
- 人物にあわせて背景を描く
など、まずはパースの基本を丁寧な図解入りで解説しています。
コマの割り方・つくり方のパートでは、
- コマの割り方
- アングルの違いによる効果
- 魚眼パースを使う
- 視線誘導
- 効果線を加える
- 描き文字を加える
- フキダシの使いわけ
など、背景だけではなく漫画の演出面も解説。
コマの中にどんな絵を入れるか。その効果的な演出を学べます。
コマ割りについては下記の記事でも書いているので参考にしてください。
【意外と大事】漫画のコマ割りの基本!割り方と斜めに割る効果最後のパート「魅力的な背景&コマを描いてみよう」では、学校でよくあるシチュエーションを例に魅力的な背景の描き方を解説しています。
- 授業中に好きな子を見つめる
- 転校生が自己紹介する
- 放課後に友達と談笑する
- うわさ話をされる中を歩く
- 遅刻ギリギリにすべりこむ
それでは各パートの内容をそれぞれ見ていきましょう!
まえがきも見どころ!
本編に行く前に、まえがきも参考になるテクニックが載っています。
それがこちら。
プロがどうやって背景を描いているのか、その狙いやテクニックを説明しています。
それでは本編の紹介です。
パース・背景の基本
背景をこれから学んでいく方にとっては、難しいイメージがあるかもしれません。
ですが本書では、マンガでわかりやすくパースとはなんなのか。を説明してくれます。
マンガパートではキャラクターもあなたと同じ、パースを知らなくて難しい説明はイヤっ!って女の子なので、初心者でもついていけますよ。
パースの基礎=背景の見え方、それを踏まえたうえで実際の描き方を解説。
背景の描き方を解説したうえで、実際にどういう過程で完成させていくかも見れます。
このように背景を描くための基本を図解やイラストを使って、丁寧に解説しています。
このパートで学べることは、
- 1点透視図法の描き方
- 2点透視図法の描き方
- 3点透視図法の描き方
- 分割法のやり方
- 増殖法のやり方
- 坂道の描き方
- 曲がった道の描き方
- 階段の描き方
- 人物にパースをつける描き方
- 人物にあわせた背景の描き方
といったパースの基本のほかに、応用テクニックとして『透視図法以外の遠近感の出し方』も解説。それがこちら。
- 空気遠近法
- 重畳遠近法
- 明暗遠近法
- モブ化
上記を知ることで、漫画の演出に幅 がでてきます。
コマの割り方・つくり方
このパートでは、漫画の背景がいかに大切か。を説明しています。
漫画の背景はただ余白を埋めるだけではなくて、
- 作品の舞台
- 季節感
- キャラクターの性格
など、セリフではなく絵で表現できる部分です。
背景の描き方を知ったあと、それを漫画でどう生かすのかを教えてくれるのが『コマの割り方・つくり方』のパートです。
まずは構図・アングルについて学んでいきます。そしてその使い方も。
パースの本では珍しい、魚眼パースの描き方・シーンにあった使い方も解説しています。
その他に学べる項目としては、
- コマの視線誘導について
- 印象に残る「止めるコマ」のつくり方
- 導入シーンのコマの役割について
- 効果線の入れ方
- 描き文字の種類と使い方
- フキダシの使い分け
漫画の表現方法やテクニックまで学べる本は「マンガパースと背景の描き方の教科書」だけです。
このことからもわかるように、背景はただコマの余白を埋めるだけではありません。
そのシーンにあった魅せ方、状況の説明など、漫画にとって大きな役割があります。
それらが学べる実りあるパートです。
魅力的な背景&コマを描いてみよう
『魅力的な背景&コマを描いてみよう』のパートは、これまでのパートの応用編です。
参考写真をもとに、どういう風に魅力的な背景を描いていくかの実践テクニックを解説しています。
このパートの流れはシチュエーションごとに、背景の描き方やコマの狙いを知れるようになっています。
シチュエーションは他にも、
- 教室編
- 廊下編
- 階段編
- 下駄箱編
- 校門前編
- 体育館裏編
- 音楽室編
- 保健室編
- 図書室編
- 生徒会室編
- トイレ編
- 休日編
- 神社編
- 通学路編
- 自宅編
があり、その中でもこと細かにシーンを選定されています。
- 期末テストがはじまる
- 好きな男子に告白する
- 女の子に傘を出しだす
- 体育館裏でカツアゲにあう
- 片思い中の先輩とすれ違う
- 部活中にタオルを差し出す
- ファミレスでデートする
- 神社で真剣に神頼みする
- 他校の女の子とすれ違う
- 電車で好きな子を見つける
- 落ち込んでベッドに寝そべる
など、全部で49のシチュエーション。これでけで学園マンガが描けそうなくらい盛りだくさんの内容です。
マンガパースと背景の描き方の教科書のレビュー
マンガパースと背景の描き方の教科書の感想は…
でした。
もう少し詳しくレビューすると、本書は主に3つのパートから構成されています。
- パース・背景の基本
- コマの割り方・つくり方
- 魅力的な背景&コマを描いてみよう
パート1の『パース・背景の基本』は、基本だけあって他の本でも手に入る情報です。
ただしこの基本はおさえていないとやはり背景は描けないので、初心者向けに説明する必要があります。
そしてたいていの背景の描き方系の本は、この説明に終始しています。
でも本書「マンガパースと背景の描き方の教科書」は違う。
その背景の描き方を知った上で、漫画でどう活かすのか。それを解説しています。
メインは漫画における背景の活かし方。これです。
背景を単なる背景とみなさずに、シーンにあったより効果的な演出を意識することで、あなたの漫画は劇的に変わります。
漫画の演出面まで考えた、背景の描き方。それを学べるのは本書だけです。
やはり本書のメインは『背景を漫画にどう活かすか』。だと思います。
そのため基本となるパースの取り方、1点透視図法などの解説は丁寧ではあるけど、さらっとしている印象です。
とはいえ、マンガやイラスト・図解などでわかりやすく解説しているので、まったく理解できない!ということはありません。
それよりも、背景を漫画にどう活かすのか。ということの方が大事です。
パースを理解できるか不安だな。という方は一度「パース塾」という本を見るのがおすすめ。
パース塾は完全初心者向け、世界一わかりやすい本です。パース塾のレビュー記事もありますので、参考にしてくださいね。
パース塾をレビュー!いちばん簡単な遠近法講座マンガパースと背景の描き方の教科書は漫画の背景だけでなく、演出面も学べることが最大のメリットです。
「マンガパースと背景の描き方の教科書」は本当におすすめです。
それでは次項から詳しい内容を紹介していきますね。
マンガパースと背景の描き方の教科書をレビューまとめ
マンガパースと背景の描き方の教科書のレビューでした。
マンガでの魅せ方に特化しているので、イラスト向きの背景本ではありません。
しかし、漫画を描くなら知っておきたい知識やテクニックが盛りだくさんなので、漫画を描く方には超おすすめ。
背景の活かし方が本書でまる分かりになります。
背景だけなく、漫画表現力もアップする良書。もっていないほうが損するくらいの1冊です。