おすすめのイラスト参考書はこちら

リズムとフォースをレビュー!躍動感あるドローイングの描き方で人物の流れがつかめる

リズムとフォースのレビュー

評価:4.5

線が定まらない、人物を描くと硬いといわれる。改善したいけど、どうすればいいのかわからない。

そんな悩みを解決してくれるドローイングでおすすめの本が「リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方」です。

リズムとフォームの表紙

本書はエネルギーに満ちた力強い人物をドローイングすることを目的としています。

そのため流れるような生き生きとした人物を描きたい人におすすめのイラスト本です。

というわけで本記事では「リズムとフォース」の内容を紹介していきます。

本書で学べる内容
  • フォースを感じる線の描画
  • 生き生きとした人物が描ける
  • 想像したものを表現できる力
  • ドローイングのテクニック
MEMO
「リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方 」はボーンデジタル様から献本いただきました。
この記事の著者
らおん

漫画家

らおん

raon wawaji

プロフィール

SNS(X:@raon_wawaji)やWEBで活動する漫画家。
当サイトでは、長年にわたり身につけた漫画の知識や経験、スキルを基に発信しています。またペンタブや参考書など、漫画・イラストを描く人のために詳細なレビューもしています。プロフィール詳細

リズムとフォースの内容

「リズムとフォース」の内容を、本書の目次に沿って紹介していきます。目次は以下のとおり。

生命を見る

生命とはフォース。そのフォースとは何らかの目的をもったエネルギーのことを指します。

この章では人がどんな目的で、どんな動きをするのか、そんなフォースを捉える技術を学べます。

その第一歩としてドローイングをするときに描く、線のタイプの解説。これは線がうまく描けない人に見てほしい内容。

線の引き方
引用「リズムとフォーム」3P

一番左は初心者がよくする短い線を重ねて描くタイプ。これはフォースや方向を感じられない、もっとも引いてはいけない線です。

引く線を探っている状態ともいえますね。ではなく、一番右の線が目指すべき線です。線のはじまりと終わり、方向すべてが見てとれます。

絵が上手い人を見ると、線の迷いがなくワンストロークが長いです。これはフォースを意識しているからですね。

本章ではこういったフォースの流れを捉える技術を学べます。

リズムとフォーム
引用「リズムとフォーム」6~7P
ジェスチャーと短縮法
引用「リズムとフォーム」44~45P

フォースに満ちたフォーム

この章で語られるフォームとは立体のこと。ここでは立体を描くための技術を学べます。

最初に身につけるべきは「パース(透視図法)」。背景を描くときにも使われるパースは通常3点まで。

しかしリズムとフォースでは4点パースについても書かれています。

4点パース
引用「リズムとフォーム」86~87P

アイレベルから上下左右、4つに消失点をとるのが4点パース。これは現実の遠近感であり、対象が近づくほど魚眼レンズでの見えかたに近づきます。

このパースを頭に入れつつ、人体を立体的に描いていきます。

リズムとフォーム
引用「リズムとフォーム」90~91P

上図は肩や足がパースに沿っている図。そして立体的に描くためには面を意識しないといけません。

この面を捉えるための目安が、ターニングエッジ。つまり身体の面の境界線です。

サーフェスライン
引用「リズムとフォーム」96~97P

上図の右イラスト、オレンジのラインがターニングエッジ。ここが面の角です。人体を立体的に描くにはここを正確に捉えること。

また立体のほかに、奥行きを示すルールとして「オーバーラップ」「タンジェント」などもあり、それぞれ解説されています。

オーバーラップとタンジェント
引用「リズムとフォーム」124~125P

オーバーラップは線をT字にし、奥行きを表現する方法。タンジェントは線を重ねず、くっつけること。

オーバーラップで人物を描く
引用「リズムとフォーム」126~127P

ちなみにタンジェントは奥行きが感じられず、平坦な印象を与えてしまうため、立体感を出すときは極力避けます。

本書では他にもたくさんの作例に基づき、さらに深い解説がされています。立体感や奥行きのある人体が描けない人は必見です。

見てるだけでも新しい発見がありました。

フォースに満ちたシェイプ

前章のフォームが立体(3次元形状)に対し、本章のシェイプは形(2次元形状)について書かれています。

2次元形状
引用「リズムとフォーム」144~145P

このシェイプにはフォースを感じない描画と、フォースを生み出す描画があります。フォースを感じないシェイプはもちろんNGで、これではイキイキとした人物が描けません。

どうすればフォースを生み出すシェイプが描けるか、そのテクニックが解説されています。

フォースを感じるシェイプ
引用「リズムとフォーム」148~149P
フォースを感じるシェイプ
引用「リズムとフォーム」158~159P

一般的なイラスト本とは違う角度で絵について学べます。今の画力に納得いっていない人は、さらなる向上のきっかけになるかもしれません。

リズムとフォースのレビュー

リズムとフォースの裏表紙

リズムとフォースはとにかくフォース(エネルギーを感じること)の捉え方に終始した1冊でした。

まず一番最初に参考になったのは線の引き方。

線の引き方
引用「リズムとフォーム」3P

線の引き方を教えてくれるイラスト参考書はほぼないため、それを知れるだけでも後の画力の上がり方に差が生まれると感じました。

YouTubeなどで上手い人のメイキングを見ても、線に迷いがなくスッと1本で綺麗に描かれています。

よくこんなきれいな線を一発で引けるなぁと感心していましたが、それの正体がこちらでした。

まだうまく線が引けない、人物の身体の流れがつかめない人には効果的。

また1本の線から立体や形まで、どう描けば生きた絵になるのか、どう描いたら線を殺してしまう絵になるのか。その違いもまた参考になりました。

シェイプの例
引用「リズムとフォーム」141P

なぜか上手くいかないとき、動きを感じない絵になるときは、必ず線を殺してしまう立体や形の描き方をしてしまっているんですよね。

具体的な人物を描く手順や、人体構造などの解説はありません。ですが形を追うのではなく、体の流れをつかむことの大切さを教えてくれます。

硬い絵から脱したい人や、絵から呼吸が聞こえてくるような、生き生きとした人物を描きたい人におすすめです。

リズムとフォースはこんな人におすすめ

リズムとフォースはこんな人におすすめです。

おすすめの人
  • 短い線を重ねて絵を描く人
  • ドローイングの描き方を知りたい人
  • 動きのある絵が描きたい人
  • 想像したポーズを自由に描けるようになりたい人

躍動感のある人体の描き方のほかに、良い線の描き方やダメな描き方まで解説しています。

絵は線の集合体なので、良い線を描けるようになれば、生き生きとした人物が描けます。

絵が硬いと言われる人や、漫画でバトルやアクションシーンを描く人にもおすすめです。

リズムとフォースの書籍情報

書籍名リズムとフォース
躍動感あるドローイングの描き方
ページ数234ページ
著者マイケル・マテジ
出版社ボーンデジタル
発売日2021/12/3
価格3,960円

著者のMr.マイケル・マテジはインストラクターとして20年以上の実績があり、ピクサーやドリームワークスにインストラクターとしても務めています。

そんな著者のリズムとフォースは「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」の推薦図書にも選ばれています。

リズムとフォースのレビューまとめ

リズムとフォースのレビューでした。

生き生きとした人物を描くために、体の動きをつかむテクニックがギュッとつまった1冊。

聞き慣れない用語がいくつかでてきますが、本文中にも巻末にもきちんと説明されているため理解できます。

一般的な絵の描き方の本では載っていないディープな内容で、本書をマスターすれば必ず生きた絵が描けるようになります。

イラストのおすすめ本まとめ イラストの描き方で参考にすべきおすすめの本30冊!目的別に選びやすく紹介 人体ドローイング、ジェスチャードローイングでおすすめの本 人体ドローイング・ジェスチャードローイングにおすすめの本10選 絵が上手くなるおすすめの本 大人も子供も!初心者の絵が上手くなるおすすめの本8選! デッサンでおすすめの本 デッサンでおすすめの本12選!人体・イラスト・ヌードなど目的別に紹介 マイケルハンプトンの人体の描き方レビュー マイケルハンプトンの人体の描き方をレビュー!躍動感をとらえるアナトミーとデザインは絵描きの登竜門的な本