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【レビュー】filmmaker’s eye(第2版)映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方で構図を極めろ

filmmakers-eyeのレビュー

評価:4.5

映画・漫画・アニメを作るときに悩むのが構図。

構図にはクローズアップや主観ショットなど、いろんなショットがあり、与える効果もそれぞれ違います。

意図する演出や印象を与えるために、構図の原則を知るのは創作するうえでとても重要。

そしてそんな構図でおすすめの本が「filmmaker’s eye~映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」です。

filmmaker's eyeの表紙

本書は29のショットの解説があり、ショットがもたらす効果から撮り方まで載っています。

映像に関する本ですが、漫画やアニメにも応用できるので漫画家やアニメーターを目指す人にもおすすめ。構図の原則とその破り方が学べます。

というわけで本記事では「filmmaker’s eye~映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」について詳しく紹介していきます。

本書の内容
  • クローズアップなどのサイズに関する7つの構図
  • 肩越しショットなど定番で使う13の構図
  • パンショットなどカメラを動かす9つの構図
MEMO
本記事はボーンデジタル様に献本いただき作成しています。
この記事の著者
らおん

漫画家

らおん

raon wawaji

プロフィール

SNS(X:@raon_wawaji)やWEBで活動する漫画家。
当サイトでは、長年にわたり身につけた漫画の知識や経験、スキルを基に発信しています。またペンタブや参考書など、漫画・イラストを描く人のために詳細なレビューもしています。プロフィール詳細

filmmaker’s eyeの内容

filmmaker’s eyeは、ショットの原則的な効果を解説し、そしてその原則の破り方や撮影時の注意点が載っています。

映像や漫画などカメラを通してストーリーを伝える媒体に必要な知識が満載です。

そんなfilmmaker’s eyeの目次は以下です。

章は大きく分けて3つ。”サイズ”では被写体の大きさによるショットを。

“定番”ではよく使う基本的なショット(構図)を。

“カメラを動かす”ではカメラムーブによる効果を解説されています。それでは3つの章をそれぞれ紹介していきます。

サイズ

サイズの章では被写体の大きさによるショット(構図)の解説が主です。以下は内容。

  • 超クローズアップ
  • クローズアップ
  • ミディアムクローズアップ
  • ミディアムショット
  • ミディアムロングショット
  • ロングショット
  • 超ロングショット

アップ・ミディアム・ロングは基本として覚えておきたいショット。映像や漫画ではほぼすべてのショットを使っています。

下図はクローズアップの効果について。

クローズアップの構図
引用「filmmaker’s eye」50~51P

クローズアップは人物の表情を伝えるのに適しているため、感情の動きをダイレクトに伝えれらます。

また人物を通して同じ体験をするので、観客の感情移入を誘う効果もあります。ここは絶対に覚えておきたいポイント。

続いて下図はロングショットの効果について。

ロングショットの構図
引用「filmmaker’s eye」74~75

ロングショットは人物の全身が映るショット(構図)。

このショットでは人物の感情ではなく人物同士の位置関係や、人物を取り巻く周囲の状況を伝えるのに適しています。

敵と対峙するときや、人物の周りに大事な情報があるときに使えます。

このように被写体のサイズによって伝えられる情報が違うため、映像や漫画を制作するうえでは必須の内容となっています。

ここを意識して作るだけでも作品のクオリティはアップします。

定番

定番の章ではよく使われるショット(構図)について書かれています。内容は以下。

  • 肩越しショット
  • エスタブリッシングショット
  • 主観ショット
  • ツーショット
  • グループショット
  • スプリットスクリーンショット
  • ダッチアングルショット
  • オーバーヘッドショット
  • 象徴ショット
  • 抽象ショット
  • マクロショット
  • ズームショット

たくさんの定番ショットがありますが、それぞれ効果や使いどころが違います。

下図は複数人の会話シーンで多用される、肩越しショットの効果について。

肩越しショットの構図
引用「filmmaker’s eye」88~89P

基本的に手前にいる人物が主人公で、奥にいる人物が会話している相手です。

この肩越しショットでは主人公と相手役との関係を示すことができます。相手役は表情が見える位置なので、表情によって友好的(笑みなど)か、敵対(怒り・憎しみなど)かを伝えられ、関係性を示せます。

ちなみに上図は友好的。これから主人公の仲間になっていく兆しを伝えています。

続いて下図は人物の視点を体験させる主観ショットについて。

主観ショットの構図
引用「filmmaker’s eye」98~99P

主観ショットは主人公が見てる視点を映すショット。それゆえ主人公の視点を通して、同じ体験をしている感覚を与えられます。

よくあるシーンでは、気絶していた主人公が目を覚ましたときに映る天井や、主人公を心配そうにのぞき込む人達があります。

この主観ショットでは主人公の感情を見せるのではなく、主人公が抱く感情を観客にも感じさせる共感性の効果が。

このように映画でよく使われる定番ショットについて解説されています。

カメラを動かす

カメラを動かすの章では、タイトル通りカメラを動かすことで得られる、効果があるショットについて書かれています。

詳しい内容は以下。

  • パンショット
  • ティルトショット
  • ドリーショット
  • ドリーズームショット
  • トラッキングショット
  • ステディカムショット
  • クレーンショット
  • エアリアルショット
  • シークエンスショット

下図は観客の注目を別の対象にするティルトショットの効果について。

ティルトショットの構図
引用「filmmaker’s eye」174~175P

ティルトショットはカメラを固定したままで、上下あるいは左右に動かすショットです。

最初に映した対象物から、カメラを移動させた先にある対象物へと変えることで、注目させたいものが何であるかを示唆。

このショットにはカメラの切替えではなく動かすことで、動いた先にある対象物との距離感や、見える範囲を広げる効果もあります。

また上図のカットではまず時計台を映し、そのあとカメラを下へ動かし2人の人物を映します。

一見関係ないショットに感じますが、このあと時計台から人物が身を投げるため、最初に映した時計台が伏線となる効果を持ちます。

カメラを切替えないことで、この2つがより関係性をもったものだと伝えられるのも、ティルトショットならではの効果です。

続いて下図は、ワンカットで見せるシークエンスショットについて。

シークエンスショット
引用「filmmaker’s eye」216~217P

シークエンスショットは、複数シーンのアクションをひと続きで見せるショットです。「カメラを止めるな」もこの手法。

カメラの切替えがないため、ワンカットの間は作品上でもリアルでも同じ時間の経過を示します。そのためリアルさや緊張感、ドラマ性が強調されます。

使いどころが難しいですがアクションシーンや、緊迫感を演出したいシーンなどに使うと効果的なショットです。

以上が「filmmaker’s eye:映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」の内容でした。

filmmaker’s eyeのレビュー

filmmaker's eyeの裏表紙

filmmaker’s eyeは映画で使われる定番のショット(構図)と、その効果の解説が載っています。

すでにいくつか映像や漫画を描いたことがある人は、感覚的に使っていたりしますが、きちんと言語化して解説しているので分かりやすい。

ショットの種類とその効果を知るだけで、意識して構図が組めるため、どの構図にするか迷うことがなくなりますね。

基本的なアップやロングの使い分け。さらに人物の感情や関係性。緊迫感やインパクトを与える定番ショットは、知っているかいなかいで、創作物に差が出ると感じます。

また本書の例題は映画で、映像作品を作る人向けですが、漫画・アニメにも適応しています。

とくに漫画は静止画なのでイラスト的な側面が多いと思われがちですが、面白い漫画を描くには映像的な技術は必須。

その中でも本書に書かれている定番ショットは、抑えておきたい内容です。

要約するとストーリーやキャラを考えるだけではダメで、それを伝える技術がいかに大事なのかを教えてくれる、そんな本でした。

映像や漫画を制作するすべての人におすすめです。

filmmaker’s eyeはこんな人におすすめ

filmmaker’s eye:映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方は、映像や漫画に役立つ29のショット(構図)について解説されています。

そんな本書をおすすめするのはこんな人です。

こんな人におすすめ
  • いつも構図が同じになる
  • イメージした面白さにならない
  • 顔マンガから抜け出せない
  • 基本的なショット(構図)とその効果を知りたい

ストーリーを伝えるために欠かせない構図。面白くなるかどうかはこの意図した構図の作り方にあります。

構図による効果を知り、適切に使い分けることで観客に伝わるストーリーテリングが可能に。

作る映像や漫画がいまいちピンとこない、イメージした面白さにならない人におすすめ。

filmmaker’s eyeの書籍情報

書籍名filmmaker’s eye
映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方
ページ数244ページ
著者グスタボ・メルカード
出版社ボーンデジタル
発売日2023/03/13
ISBN-13
(ISBN-10)
978-4862465467
(4862465463)
価格3,960円
※価格は変動する場合があります。

以前に発行されたfilmmaker’s eyeの第二版。テクノロジーの発展に応じた改訂と、大幅なページ増で、画づくりや構図の基本が学べます。

シリーズとして「filmmaker’s eyeレンズの言語 映画に学ぶ画作りとストーリーの伝え方」も刊行されています。

filmmaker’s eyeシリーズの紹介

filmmaker’s eyeシリーズは、以下の2冊が発行されています。

表紙
タイトル filmmaker’s eye
映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方
filmmaker’s eye
レンズの言語 映画に学ぶ画作りとストーリーの伝え方
ページ数 244ページ 200ページ
価格 3,960円 3,960円
ECサイト

本記事で紹介している「映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方」は、構図と撮影術を。

もう1冊の「レンズの言語 映画に学ぶ画作りとストーリーの伝え方」はタイトル通り、画作りとストーリーの伝え方を解説されています。

filmmaker’s eyeのレビューまとめ

filmmaker’s eye映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方のレビューでした。

映像や漫画を制作するなら、必ず必要となるショットの解説があり、必須の内容。

構図の効果や使いどころがイマイチ分からない人はぜひ手に取ってみてください。

本書の内容
  • クローズアップなどのサイズに関する7つの構図
  • 肩越しショットなど定番で使う13の構図
  • パンショットなどカメラを動かす9つの構図
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