【レビュー】キャラクターからつくる物語創作再入門!キャラクターアークで読者の心をつかむ

キャラクターからつくる物語創作再入門

漫画制作に関する書籍に余念がない、らおん(@RaonWawaji)です。

漫画でも小説でも脚本でも、創作のうえで切っても切れない関係にあるのが、「ストーリー」と「キャラクター」。

どちらかは得意でどちらかは苦手、そんな方も多いですよね。

らおん
僕はキャラクターをつくるのが苦手でした

キャラクターのつくり方の本をかたっぱしから読んだこともあります。

しかしキャラクターを今までにない方法でつくる、しかも同時にストーリーもできてしまう、そんな魔法のような書籍が出版されました。

それが『キャラクターからつくる物語創作再入門「キャラクターアーク」で読者の心をつかむ』です。

キャラクターアークとは「登場人物の変化の軌跡」

この変化の軌跡を、ストーリー制作で用いる三幕構成にならってつくっています。

らおん
いわば三幕構成のキャラ版!

キャラづくりに三幕構成を使うことで、キャラクターとストーリーが同時につくれる、唯一無二の書籍となっています。

というわけで本記事では『キャラクターからつくる物語創作再入門「キャラクターアーク」で読者の心をつかむ』を詳しくレビューしていきます。

キャラクターからつくる物語創作再入門の内容

本書はキャラクターアークを使ってつくる物語創作です。

キャラクターアークとは人物がたどる変化の軌跡のこと。

その基本は以下の3つ。

  1. 主人公がある状態で登場する
  2. 主人公が物語の中で何かを学ぶ
  3. 主人公が前より良い状態になる

ということで、アークを使った物語創作再入門がはじまります。

本書は全部で4章。

キャラクターからつくる物語創作再入門の目次は以下の通りです。

それでは各章を詳しく紹介していきます。

一章:ポジティブなアーク

ポジティブなアーク

1章は全14項目あります。それがこちら。

詳しく紹介していきます。

人物が信じ込んでいる「嘘」

ここでいう「嘘」というのは、キャラクターの思い込みのこと。

例えば、

  • 好きな人のタイプは○○
  • 大人は汚い
  • 強いものが必ず勝つ
  • 自分には価値がない

といったキャラクター主観の価値観や考え方です。

最終的にこの「嘘」は変化し、真実を手に入れます。

人物の「WANT」「NEED」

キャラクターが「欲しいもの」と「必要なもの」。

この2つの違いをわかりやすく例えると、こうなります。

  • WANT=彼女
  • NEED=愛

キャラクターは自分にとって「必要なもの」を自覚しておらず、「欲しいもの」ばかりを追い求めます。

そして「必要なもの」は主人公が信じている「嘘」ではなく「真実」。

らおん
つまり主人公は「嘘」を追い求めるが、最終的に手に入るのは「真実」

人物の「ゴースト」

キャラクターが「嘘」を信じ込んでしまった背景には、なにがあるか。

それが「ゴースト」です。

例えば自分には愛される資格がない、という「嘘(思い込み)」に至った過去のできごと。

人物の「特徴が表れる瞬間」

ストーリーは当然のことながら、キャラクターを紹介する必要があります。

ただ紹介するよりも、こいつはこんなキャラクターなんだぜ、という特徴と共に紹介するのが定石です。

主人公の特徴が表れる瞬間として、理想的なものは以下の3つです。

  • 読者にとって主人公が魅力的に見える
  • 主人公の長所と短所の両方が紹介できる
  • プロットを先に進ませる

「普通の世界」

普通の世界とは、キャラクターが過ごしている日常の世界です。

日常の世界を描くことで、キャラクターの「嘘」やそのほかの設定を読者に見せることができます。

第一幕

第一幕ではなにを描くのか。三幕構成を知っている人なら、すぐにわかる内容ですよね。

そう、作品の設定を描くパートが第一幕です。

本書では作品の設定のほかに、キャラクターアークも設定します。

キャラクターアークの設定に、必要なパーツは以下の6つ。

  • 「嘘」を明確に打ち出す
  • 「嘘」を克服する力があることを示す
  • 最初の一歩を教える
  • インサイティング・イベントを拒否させる
  • 「嘘」への態度を進展させる
  • 決断させる

プロットポイント1

「普通の世界」から旅立つできごとが起きるポイントです。

キャラクターはまだ「嘘」を信じ込んでいますが、今までの日常には不安を感じ、なにかしらの行動をとる変化のきっかけ。

「WANT」を求めて日常から飛び出します。

第二幕の前半

第二幕の前半では新しい世界へ飛び出した、キャラクターの生き方を描きます。

この項目で必要なキャラクターアークは以下の4つ。

  • 「嘘」を克服するためのツールを与える
  • 「嘘」のせいで困難に陥るところを描く
  • 人物を「WANT」に近づけ「NEED」から離す
  • 「嘘」のない状態をちらりと見せる

キャラクターの嘘(思い込み)で順調にストーリーは進んでいるように見えるが、実際はその嘘のせいで困難になったり、本当に必要なものから遠ざかったり。

そういったものを見せるのが第二幕の前半です。

ミッドポイント

キャラクターの中で大きな変化が生まれる展開がミッドポイントです。

キャラクターアークでいうと、今まで信じていた「嘘」が違うことに気づく。

そのことによって、じょじょにキャラクターに変化が生まれはじめます。

第二幕の後半

第二幕の後半は、キャラクターは「嘘」ではなく真実を受け入れ、「NEED」を手に入れるために積極的に行動していきます。

第二幕の後半で必要なキャラクターアークのパーツは6つ。

  • よりよい行動をさせる
  • 「嘘」と「真実」で板挟みにする
  • 「嘘」がもたらす結果から逃避させる
  • ビフォー・アフターで対比する
  • 見せかけの勝利をさせる
  • キャラクターアークの核心をはっきり見せる

キャラクターはじょじょに変化をたどっていきますが、まだ「嘘」による妨害がある段階。

自分の思い込みによって「真実」が大切だとわかっていながらも、長く思い込んできた「嘘」にしばられています。

しかし態度による変化も見受けられるのもこの段階です。

プロットポイント3

プロットポイント3はキャラクターアークの中で、最も重要な場面です。

それはキャラクターが「嘘」の世界で手に入れたいものと、本当に価値のある「真実」のどちらかを選択するシーンだからです。

らおん
今までの間違った認識を捨て、新しい価値観を手に入れる瞬間!

今まで手に入れたいと思っていた「WANT」と、本当に価値のあるもの「NEED」の選択を明確に提示し、「嘘」にとらわれていた自分にさよならを告げます。

この選択を迫るのは敵対者で、まだキャラクターはやっつけていない状況です。

第三幕

選択を迫った敵対者と、対決する準備をするシーン。

第三幕で必要なキャラクターアークは4つあります。

  1. 危険度を上げる
  2. 人物を常に不安定な状態にしておく
  3. 人物がどこまで変化したかを示す
  4. 新しい価値観に新しい攻撃をしかける

前項目プロットポイント3で「真実」を選択したキャラクター。

しかしそれは本当に正解だったのか。「嘘」を信じていた方がよかったんじゃないか。

といった葛藤を描くシーンでもあります。

クライマックス

クライマックスはキャラクターの変化を証明するシーンです。

「嘘」を完全に排除し、選択した「真実」に従って行動します。

そしていよいよラスボス、敵対者と対決。読者が納得のいく結末を提示します。

「解決」

解決は単なる結末を書くのではありません。

キャラクターがまだ「嘘」を信じていた、「普通の世界」と対比するシーンです。

この解決では「真実」を手にしたキャラクターが、その世界で暮らす日常を描きます。

「普通の世界」と「真実を手にした世界」の対比。それは前より良い状況になっていることがほとんどです。

二章:フラットなアーク

フラットなアーク

フラットなアークの主人公は、ポジティブなアークと違い、心の変化をしません。

最初から「真実」を手にしていて、その「真実」に従って行動します。

らおん
つまり「嘘(思い込み)」がないキャラ!

このアークはキャラクター自身が変わるのではなく、キャラクターが世界を変えます。

「嘘」を信じているのは世界のほう。

フラットなアークの項目は3つです。

それぞれ詳しく紹介していきます。

第一幕

第一幕は設定を見せるシーン。それに必要なパーツは3つあります。

  1. 人物が信じる真実
  2. 普通の世界
  3. 特徴が表れる瞬間

主人公だけが真実を知っていて、それ以外の人物は「嘘」を信じ込んだ「普通の世界」で暮らしています。

このまま「嘘」が支配していると、大変なことになる状況下です。

第二幕

第二幕はポジティブなアークと同じ構成。

その構成は以下です。

  • プロットポイント1
  • 第二幕目の前半
  • ミッドポイント
  • 第二幕目の後半

「嘘」を信じていたポジティブなアークと違う点は、「真実」を主張すること。

「真実」を主張するたびに罰を受けたり、「嘘」の世界におさまるように言いくるめられます。

第三幕

「嘘」を支配する敵と対決するシーン。

第三幕もポジティブなアークと同じ構成です。

  • プロットポイント3
  • 第三幕
  • クライマックス
  • 解決

このフラットなアークでは主人公に影響されて、それまで「嘘」を信じていた脇役が「真実」を知ることになります。

そして「真実」を知った脇役は、「嘘」を支配している敵と戦う主人公の、力強い味方になります。

最終的に世界は「嘘」から解放されて「真実」の世界に。

解決の部分では、真実の世界で暮らす人々の様子をしっかり描きます。

三章:ネガティブなアーク

ネガティブなアーク

ネガティブなアークは、いわゆるバッドエンディングの主人公です。

このネガティブなアークはパターンが3つあります。

  1. 失望のアーク=悲劇的な「真実」を知る
  2. 転落のアーク=さらにひどい「嘘」を信じる
  3. 腐敗のアーク=「嘘」を受け入れる

上記のアークは、構成は今までのアークと同じものの、描く内容が異なります。

構成は以下。

それでは詳しく紹介していきます。

第一幕

第一幕の構成は以下です。

  • 人物が信じ込んでいる「嘘」
  • 普通の世界
  • 人物が際立つ瞬間
  • 第一幕

ネガティブなアークでは「嘘」と「真実」、両方を読者に見せます。

そしてどのネガティブなアークのパターンでも、「嘘」が優位に立ち、キャラクターはその世界で暮らしています。

第二幕

第二幕の構成も、これまでのアークと同じです。

  • プロットポイント1
  • 第二幕目の前半
  • ミッドポイント
  • 第二幕目の後半

ネガティブなアークで描く内容は、より闇に落ちていく、という点。

キャラクターは「真実」の大切さを知りながらも、「嘘」を払うことができません。

その結果、前よりも力強く「嘘」に従って行動していきます。

第三幕

第三幕目も構成は同じです。

  • プロットポイント3
  • 第三幕
  • クライマックス
  • 解決

構成はこれまでと同じですが、最後に訪れるのはバッドエンド。

ネガティブなアークに訪れる結末は以下の2通りです。

  • WANTを手に入れるが心は満たされない
  • 真実を受け入れられず戦いに敗れる

共通するのは「真実」を拒否し、「嘘」の世界から抜け出せないこと。

解決の部分ではバッドエンドを迎えた主人公が、最後どうなったのかをしっかりと描きます。

四章:キャラクターアークについてのよくある質問

キャラクターアークについての質問

キャラクターアークは”登場人物の変化の軌跡”を描くこと。

だけどこの方法で物語を創作するやり方は、本書にしか書かれていません。

なので実際に書いていると、

らおん
あれ?この場合どうしたらいい?

といった箇所がでてくることがあります。その場合の解説もしっかりカバー。

例えばこの章では以下の疑問について答えています。

  • 人物に適したアークの選び方
  • アークをサブプロットにしてもいいか?
  • インパクトキャラクターとは何か?
  • インパクトキャラクターがなぜ必要か?
  • 脇役にもキャラクターアークが必要?
  • 人物に報酬と罰を与えて変化を促す方法は?
  • 物語にキャラクターアークがない場合は?
  • シリーズものではキャラクターアークをどう作ればいいか

3章までの内容を補完する解説。

キャラクターアークを使った、ストーリー作りの具体的イメージがつかめます。

キャラクターからつくる物語創作再入門のレビュー

読み終わった感想は、

らおん
すごい!!(語彙力)

の一言。

これまで物語を創作するとなると、2つの勉強が必要でした。

  • ストーリー
  • キャラクター

しかし本書ではこの2つの勉強が、一度でできてしまう。

今までストーリーやキャラクター関係の本はたくさん読んできましたが、どの本にもないアプローチ方法で、物語を創作する術が載っています。

本書で解説されているキャラクターアーク(登場人物の変化の軌跡)は、記載順に以下の3つがあります。

  1. ポジティブなアーク
  2. フラットなアーク
  3. ネガティブなアーク

ポジティブなアークは、キャラクターがよい方向に変化する描き方。

フラットなアークは、キャラクターが周囲に変化をもたらす描き方。

ネガティブなアークは、キャラクターが悪い方向に変化する描き方。

ほとんどの作品はポジティブなアーク型が多い印象。

らおん
だからこそ、そのあとのフラットなアークの解説が面白い!

ストーリーのパターンともいえるし、キャラクターのパターンともいえる。

そしてそのパターンに必要な構成も解説。……すさまじい…ですね。

このキャラクターアークをベースにすると、描く物語は3つに絞られます。

  1. 自己の回復
  2. 他者への救済
  3. 自己の破滅・他者の破滅

3つのパターンに絞るからこそ奥が深く、でも作りやすい構成でもあります。

具体的な展開も学べるので、まだ1作品も書いていない人でも、書き切ることができるのが本書の強み。

これを知っているか知っていないかで、物語創作に幅の違いが出るな、と感じました。

らおん
バッドエンドの書き方としても参考になります!

ベースにあるのが三幕構成なので、三幕構成も知っていると理解がスムーズです。

三幕構成を学ぶなら「SAVE THE CATの法則」がおすすめ。

SAVE THE CATの法則レビュー 【SAVE THE CATの法則レビュー】本当に売れる脚本術はストーリー制作の基礎を固めるバイブル!

キャラクターからつくる物語創作再入門のまとめ

キャラクターとストーリーを同時に学べるのが本書「キャラクターからつくる物語創作再入門 キャラクターアークで読者の心をつかむ」です。

今までにないアプローチ方法で物語創作について解説されています。

作品を作るなら、「キャラクター」と「ストーリー」両方を勉強しなきゃ!と考えている人にこそおすすめです。

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